最新記事

クジラ

クジラは森林並みに大量の炭素を「除去」していた──米調査

Whales Removed an Abundance of Carbon From Earth

2021年11月5日(金)17時14分
ハナ・オズボーン

ヒゲクジラ類の多くの種は、現在はまだ、20世紀に行われた大量殺戮の痛手から回復しきれていない状況だ。もしクジラの個体数が捕鯨以前のレベルに戻れば、海洋生態系の機能は大きく改善されるとピエンソンは語る。

ピエンソンは声明の中で、「私たちの研究結果は、世界の生産性と炭素除去に対するクジラの貢献度は、規模という点で、おそらく全大陸の森林生態系に匹敵していたと示唆している」と述べている。「このシステムは今も存在しており、クジラの回復を助けることで、失われた生態系の機能を取り戻し、自然を活用した気候変動対策を行うことができる」

研究チームは、20世紀が始まった時点で、南極海のクジラは年間約4億3000万トンのオキアミを食べていたと推定している。これは南極海に現存するオキアミの2倍に相当する量だ。

クジラの個体数が回復し、それに伴って植物プランクトンの量が増えれば、2億トン以上の炭素が吸収され、海洋システムに蓄えられると研究結果は示唆している。しかも研究チームによれば、これらの恩恵は年を追うごとに大きくなる可能性があるという。

「クジラは生態系エンジニアだが、私たちが研究を行うまで、現実のデータに基づく数値を比較することができなかった」とピエンソンは本誌に語った。

「捕鯨によって『海のアマゾン』が失われたと言っても過言ではない。これは、(生物多様性ではなく)バイオマスの損失という意味でのことだ。絶滅した種こそいないが、個体数の減少は、生態系の機能に劇的な影響をもたらしたと考えられる」

「巨大なクジラたちの回復を促すことは、世界の海の健康と機能にとって良いことであり、さらに、私たちの子孫にとっても良いことだと思う」
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクG、オープンAI追加出資で最大400億

ビジネス

再送-〔アングル〕4月の日本株は波乱含み、「持たざ

ビジネス

アイリスオーヤマ、ライフドリンクC株を大量保有 純

ビジネス

英中銀、窓口貸し出しコスト引き下げ 担保品質に応じ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊張緩和の兆しか
  • 3
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 4
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRAN…
  • 5
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 6
    親の遺産はもう当てにできない? ベビーブーム世代…
  • 7
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 8
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 9
    「予想よりも酷い...」ドラマ版『ハリー・ポッター』…
  • 10
    日本経済にとって、円高/円安はどちらが「お得」な…
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 7
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 8
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 9
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中