EV新興企業リビアンはテスラの敵か、それとも味方か?
リビアンの創業者でCEOのR.J.スカーリンジはMITで機械工学の博士号取得した人物で、マウンテンバイクが趣味のアウトドア派でもある。
自動車メーカーを作ろうと彼が心に決めたのは18才の時だった。そして、2009年にリビアンを創業。この時26才だった。
リビアンCEOの座は案外もろい
スカーリンジは技術志向のCEOだが、細部にこだわりデザインにも一家言を持つのはイーロン・マスクと似ている。そして、周りから何でも短時間で吸収する才能も同様だ。しかし、発言はイーロンよりも堅実で控え目だ。
さて、アマゾンから電動の配送用バンの10万台の大量注文を受け、IPOにも成功したリビアンだが、問題も少なくない。
テスラがそうだったようにクルマの大量生産は計画通りにはいかない。イーロン・マスクは3万5000ドルのEVセダン「モデル3」で生産地獄を経験したが、本当にリビアンはEVトラックを量産できるのかと疑問を持つ人々も少なくない。
だが、それ以上に問題なのはリビアンの経営権だ。
リビアンの最大株主は創業者のR.J.スカーリンジではない。アマゾンだ。その保有株数は約20%で、一方スカーリンジCEOは約2%を持つにすぎない。
議決権においても、スカーリンジは約9.5%を持つが、アマゾンはその上を行く約17%を有する。そして、CEOよりも多くの株を保有する株主にはアマゾン以外にもフォードや米資金運用大手のティー・ロウ・プライスなどが名を連ねている。
こうしてみると、スカーリンジCEOの経営支配権が弱い点を問題視するのも頷ける。
テスラと比較すると、イーロン・マスクはテスラ株の約20%を持ち最大株主の座にあって、経営のグリップをがっちりと握っている。だから、テスラは赤字であっても思い切った施策を連打することができたのだ。
リビアンはアマゾンから電動の配送用バンの10万台の注文を受けているが、もし、出荷が大幅に遅れることになれば、リビアン株の20%を保有する最大株主アマゾンは、リビアンCEO更迭という手段に打って出ることもあり得る。
事業計画通りに事が進めばいいが、頓挫すると持ち株数の少なさがスカーリンジCEOのクビを絞めかねない。
しかし、リビアンの本当の戦いはこれからだ。トラックをEV化し大量生産する。その手腕を楽しみに今は見守るべきだろう。