COP26が死守した「1.5度抑制」目標 達成になお高いハードル
二酸化炭素排出量が世界最大の中国は先週の米国との共同宣言で、石炭使用やメタン排出の抑制、森林保護などを通じて排出量削減努力を強化する方針を打ち出したものの、いずれも具体策は明らかにしていない。
中国はCOP26の舞台では資源豊富な途上国の一角として、化石燃料削減を巡る成果文書の表現を弱める役回りも演じている。例えば文書の素案では、各国が石炭使用と化石燃料向け補助金を段階的に「廃止」すると記されていたが、石炭については「排出削減対策が取られていない石炭」に修正され、二酸化炭素貯留・回収技術を利用すれば石炭を使える余地が残された。補助金も「非効率な補助金」に改められ、同時に何が非効率か定義されなかったため、各国が石油やガス、石炭向け補助金で裁量を働かせることが可能になっている。
成果文書を巡る協議では中国とインドによる土壇場の介入で、石炭火力の「段階的廃止」が「段階的削減」に変更された。
途上国の期待と不安
先進国が行う途上国の気候変動対策への資金支援の面でも進展があった一方、幾つかの課題が残された。
この問題は結局、公平性に関する話になっている。先進国が過去に排出した温室効果ガスが今の気候変動の大きな原因となっている中で、途上国に要求している対策の費用を先進国が負担する気があるかどうかが問われているからだ。
その点で今回、先進国に合計支援規模を19年の水準から25年までに「少なくとも2倍」にするよう促したのは一定の前進だった。さらに小さな島しょ国や途上国が補償を求めている気候変動絡みの災害のコストについて「被害と損失」として初めて言及した。もっとも米国、欧州連合(EU)などの抵抗で、そうした補償金を確保する段階には至っていない。
気候変動対策支援では、先進国は年間1000億ドルを20年までに拠出するとした09年の約束を守っておらず、途上国側は23年までの支払いを期待しつつ、資金が届かないのではないかとの不安も抱いている。
(Kate Abnett記者、Valerie Volcovici記者)
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