自己肯定感が低くても悩まずにいることは可能、心を惑わす「ノイズ」との付き合い方
井手:それだけで気持ちがラクになりそうですよね。
本書には14種類のノイズが紹介されていますが、どれもキャッチーで「あるある!」と頷けるものばかり。「欲しがらないほうがいい」と思い込んでいる「他人ファーストノイズ」、絶対に失敗したくない「完璧主義ノイズ」......。きっと多くの人が、「これは自分のことだ!」と思うのではないでしょうか。
また本書には、そうしたノイズに邪魔されないための「ノイキャン(ノイズキャンセリング)エクササイズ」が紹介されています。これもまたキャッチーなネーミングで、しかも気軽にできるものばかりですね。
山根:もしかしたら、ちょっとバカっぽいなと思う方もいるかもしれませんね(笑)。でも、それくらい気軽なほうがいいんです。
悩みって、深刻になりすぎるとドヨーンとしてしまうもの。だからせめて、エクササイズは楽しく取り組んでほしいと思います。
井手:本書のノイキャンエクササイズのなかから、「自分実況中継」をやってみました。自分の動作一つひとつを言葉にして、自分を客観視するというものです。
やっている時点で、「これはもう、自己肯定感が上がるいっぽうだな」という感覚でしたね(笑)。楽しくて楽しくて。この楽しさも、ノイキャンエクササイズのキモだと感じました。
「自己肯定感低めの人」がトライしたい2つのエクササイズ
井手:本書で紹介されている10種類のノイキャンエクササイズのなかで、山根先生が特におすすめのものはどれですか?
山根:まずは「テレビの『ながら見』禁止」です。テレビには、ネガティブな情報もたくさん。意識的に見るのはいいのですが、そうでないと、ネガティブな情報がどんどん入ってきてしまいます。自分が落ち込んでしまったり、ノイズを強化してしまったりするような視聴は控えるといいですね。
井手:ネガティブな情報をシャワーのように浴び続けるのではなく、見るなら見る、見ないなら見ない、と線引きが重要ですね。
山根:その通りです。また「絶好調ラベル」も、ぜひ挑戦していただきたいエクササイズです。
人って、ネガティブなものに意識が向きやすい生き物です。危険を察知して回避しなければ生き残れませんからね。でもそれがいきすぎると、ネガティブなことばかり考えてしまう。
そうならないように、ネガティブなことが頭をよぎったら、ポジティブなことも同時に考えてみましょう。「腰は痛いけど足は軽いぞ」とか。
リモートワークや外出自粛などで、自宅に一人でいると、ネガティブな自分像がふくらんでいってしまうかもしれません。それを食い止めるために、あえて「自分は絶好調だ」とラベリングしていくんです。
井手:ダメなことを一つ思いついたら、いいことも一つ探して上塗りをして、いい話で終わるようにすると。
山根:そうです。これは、ネガティブ思考をやめて無理やりポジティブ思考を切り替えようということではありません。ポジティブとネガティブのバランスを取るようにしてほしいんです。