最新記事

BOOKS

神は6日で世界を造ったとの「真実」を理解する意味...理不尽な世界に対峙する「神学」の力

2021年9月2日(木)12時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

私には息子が一人います。子どもを育てるときも、神の視点からすると、この世には愛と関心なしに生まれてくるものは一つもないと痛感する瞬間があります。私にとって聖書は物理学や生物学ジャーナルに掲載された論文ではない。愛する親から送られた手紙のような存在です。鳩の雛のように、愛されることに喜びを感じながら読む本。それが聖書ではないでしょうか。

鈴木: そんなふうに、感情いっぱいで読む本が聖書だとしたら、感情ってみんな違うから、十人十色の異なる真実があるってこと? 湖に感動する人もいれば、しない人もいる。そんな感じでいいのかな? 私は宗教的感情を持って生活している人たちって、なんかいいなぁと思うことがある。宗教的感情は何よりも価値があって、人生の基盤として大きな意味があるんだろうなと思う。でも、私は信仰心が薄いから「絶対依存の感情」は持っていないんだよね。持ちたいとも思ってないし。キリスト教の語る「真実」は、私にとってはどうしても真実とは思えないんだけど、先生はどう思う?

教授: 湖に感動する人もいれば、しない人もいる。それでよいと思います。もちろん、信仰の「真実」は感情だけで成り立つものではありません。申命記6章4-5節には次のようなくだりがあります。

聞け、イスラエルよ。我らの神、主は唯一の主である。あなたは心を尽くし、魂を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。

ここで、「心」とはヘブライ語の「レバブ」を訳したもので、人間のパトス、つまり感情を意味します。「魂」は「ネフェシュ」を訳した言葉で人間のロゴス、つまり理性を表します。そして最後に「力」は「メオド」を訳した単語で習慣と生き方によって形づくられた人間の意志、つまりエートスを示します。

聖書が語るもっとも理想的な信仰の形は感情だけではなく、人間の理性、感情、意志、つまり知・情・意を尽くして神を愛するところにあります。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

自工会会長、米関税「影響は依然大きい」 政府に議論

ワールド

中国人民銀、期間7日のリバースレポ金利据え置き 金

ワールド

EUのエネルギー輸入廃止加速計画の影響ない=ロシア

ワールド

米、IMFナンバー2に財務省のカッツ首席補佐官を推
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中