最新記事

能力

創造性が爆発する黄金期「ホットストリーク」、才能開花の鍵は2つの習慣だった

2021年9月30日(木)18時30分
青葉やまと

成功者たちは分野こそ異なれど、2つの習慣を特定の順序で実行していた gorodenkoff-iStock

<才能のピークが続く期間は俗にホットストリークと呼ばれる。迎えるには、ちょっとしたコツがあるという>

優秀なアーティストも研究者も、オリジナリティ溢れる良質な成果は数年間に集中して量産されることが多い。俗に「ホットストリーク」と呼ばれる黄金期であり、それまでとはまったく違ったスタイルがクリエーターのなかで完成する。

抽象表現主義の巨匠であるジャクソン・ポロックは1946年から50年、一見ランダムに絵の具を撒いたようにも見えるドリップ・ペインティングの手法で次々と作品を生み出し、世間に衝撃を与えた。

映画監督のピーター・ジャクソンはそれまで人気を得ていたカルト路線から一転、2001年から03年発表の『ロード・オブ・ザ・リング(LOTR)』三部作で監督・脚本・製作を務め、別次元の成功を手にしている。

最新の研究によると、このような成功者たちは分野こそ異なれど、いずれも2つの習慣を特定の順序で実行しているのだという。その習慣とは、「探索」と「活用」だ。

膨大なアート作品と論文を解析

米ノースウェスタン大学・ケロッグ経営大学院のダシュン・ワン博士らの研究チームは、創造性に直結しやすい活動・教育手法を探るべく、ホットストリークを生む活動パターンを探った。チームは数十万点の絵画や既存の学術論文などをもとに、芸術家や研究者などの活動パターンを分析している。

対象となったのは、画家・映画監督・科学者という3つの異なるキャリアタイプだ。研究の結果、これらいずれの分野においても「探索」と「活用」がホットストリークを産んでいることが確認された。

画家については、2000人以上の画家による80万点以上の絵画作品をディープラーニングで処理し、年代ごとの筆致や題材としたオブジェクトなどの変化を分析した。映画監督については4300人以上の監督について、作品のジャンルとプロットの構造、そしてキャストに選定した役者たちを異なるロジックのAIで処理し、それぞれ年代ごとの特徴を洗い出した。科学者に関しては2万人を超える著者による論文と参考文献の引用関係をモデル化し、年代ごとの研究トピックと所属コミュニティの変化を追っている。

分析の結果、いずれの分野でもホットストリークは突然たどり着けるものではなく、さまざまな手法の模索を続ける探索期を経た成果であることが判明した。研究内容は自然科学分野の学術誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』上で公開されている。

リスクある探索期を経てホットストリークへ

チームは論文のなかで、探索期は「現在あるいは過去に成功を収めたエリアを超越し、実験と探求に駆り立てる」期間だとしている。未知のエリアでの試行錯誤は「リスクが高く、ゆえに成果にも大きなムラが生じやすい」が、「予期していなかった異質なフィールドの組み合わせによる革新的なアイデアに遭遇する確率を上昇させることがある」という利点を生み出す。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

独プーマ、今年も赤字継続と予想 配当中止

ビジネス

「日本の安定性」に魅力の外資系企業、63%で過去最

ビジネス

LSEG、40億ドルの自社株買い計画 エリオットが

ワールド

香港活動家の父親に禁錮8月、保険解約で国安条例適用
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    最高裁はなぜ「今回は」止めた?...トランプ関税を違…
  • 5
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 6
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 7
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 8
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 9
    2月末に西の空で起こる珍しい天体現象とは? 「チャ…
  • 10
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 6
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 9
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中