最新記事

インタビュー

【モデルナCEO独占取材】mRNAワクチンはコロナだけでなく医療の在り方を変える

CHANGING MEDICINE FOREVER

2021年8月5日(木)18時18分
デブ・プラガド(ニューズウィーク社CEO)

210803P20_MCO_05.jpg

ウイルスは武漢の研究所(写真)から誤って流出した可能性も FEATURECHINA/AFLO

――最近は、ウイルスが武漢の研究所から誤って流出した可能性が高いと報じられている。本誌は20年4月に、この可能性をいち早く報じていた。それについてどう思うか。

可能性はあるだろう。今の段階では、何が起きたのか確信できるデータはない。

しかし可能性として、ウイルスは動物由来かもしれない。中国では生きている動物が市場にたくさん出回っていて、人間のすぐ近くにいる。生きたまま連れて帰り、何日も何週間も家で飼うこともある。ウイルスが種を飛び越えるという意味で、好ましくない状況だ。

もう1つ言えるのは、P4(病原体レベル4)研究所の存在だ。世界最高水準のバイオセキュリティーを備えた研究所だ。そして、人間は間違いを犯す。どんな仕事であれ、人間はミスをする。

――研究所で重く複雑な防護服を着て作業をしていた技術者が誤って防護服を傷つけ、気付かずに感染する可能性は?

世界中どこでもあの手の研究所ではその可能性はある。感染して帰宅し、家族にも感染を広げるかもしれない。潜伏期間のせいで感染していることにさえ気付かないせいだ。それから1~2週間ひそかに感染が広がっていく。冬に一部の若者に風邪のような症状が出ても、誰も驚かないだろう。入院するケースが複数出るまでさらに2週間、まずい状況だと気付かれないまま感染が拡大する可能性がある。その頃には既にウイルスが研究所の外に広がってパンデミックが起きている。

だから可能性としてはある。武漢の研究所での人為的ミスでウイルスが流出したと確信できるか。あるいは市場から広がったという説か。どちらかがより信憑性があると考えるに足るデータはない。だが可能性としてはイエスだ。

――新型コロナの感染拡大が起きていなければ、モデルナの事業展開はどのような経緯をたどっていたか。

コロナ前の計画では24~25年に初のワクチン、サイトメガロウイルス(CMV)ワクチンを発売する計画だった。CMV感染による先天性異常の頻度は、アメリカをはじめ世界各地でダウン症を上回ってトップだ。本来なら臨床試験を開始してより多くの薬を臨床の場に送るのは数年先のことで、そのために1年か1年半か2年ごとに資金を調達していただろう。商品化して成功している他のバイオテック企業は、どこもそうしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン軍艦がスリランカ沖で沈没、米潜水艦が攻撃 乗

ビジネス

フィッチ、インドネシア見通し「ネガティブ」に下げ 

ワールド

中国政協開幕、軍トップ張氏ら政治局員2人が姿見せず

ビジネス

スイス中銀、為替介入意欲が高まる=副総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 6
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中