中国選手を絶賛するバッハ会長と五輪を政治利用する菅政権
日本では、バッハはIBC視察に行っただけだと報道されているが、実態は違う。
7月13日のコラム<バッハ会長の頭には「チャイニーズ・ピープル」しかない>に書いたように、バッハの頭にはあくまでも「中国」しかないのである。日本はその通過点に過ぎず、利用しているだけだ。
IOCは北京冬季五輪の有観客開催に期待
東京大会開会式2日前の7月21日、IOCは来年の北京冬季五輪の成功には観客が必要だという見方を示した。発言したのはIOCの北京大会調整委員会のサマランチ(ジュニア)委員長で、「北京大会では大きな成功が必要」で、そのためには「観客が必要だ」と明言した。「中国の人々のもてなしを誰もが楽しむ機会を実現したい」とも語った。
23日から東京大会が無観客で開催されることを決めながら、一方では「五輪の真の成功は観客があってこそだ」と言うことは即ち、「東京は無観客で失敗だ」と言ったに等しく、対照的に「北京ならば(コロナ感染をコントロールしているので)有観客が可能で、成功するだろう」と言ったに等しいのである。
これではまるで、日本は弄ばれているようなものではないか。
そのような中で必死で頑張る日本選手をもバカにしていると言っても過言ではないだろう。
日本国民全体の命に関しては、五輪開催に集中する分だけコロナ感染抑制への努力がそがれて感染は拡大し、医療資源も枯渇して、日本人の命を奪っていく可能性は否定できない。IOCにバカにされながら、日本人は命を犠牲にすることにつながっていく要素を秘めている。
河村議員――五輪開催はコロナ対策に対する国民の不満をそらすため
このような中、自民党の河村建夫議員は7月31日、コロン感染拡大の中での五輪開催に関して、なんと、「五輪がなかったら、国民の皆さんの不満はどんどんわれわれ政権が相手となる。厳しい選挙を戦わないといけなくなる」と語ったという。共同通信が伝えた。
共同通信によれば、それは山口県萩市における会合での発言とのことだが、ここにきて国民から受けていた「国民の命を軽視し、コロナ下でも五輪を強行開催するのは選挙のためだろう」という批判が真実だったことを露呈したことになる。
日本人の命を軽視しているのはIOCだけではなかったのだ。
菅内閣自身が「自公政権与党は選挙しか考えておらず、東京五輪開催によって急拡大していくコロナ感染など眼中になく、日本国民が選手の活躍に目を奪われてくれれば『選挙に有利になる』という思考しかない」ことを証明したようなものだ。
河村議員の「正直さ」にわれわれは深く感謝しなければならないだろう。
私たちが今、いかなる現実に置かれて、いかなる意志によってコントロールされているかを、ここまで「見事に」表現してくれた言葉は滅多にないからだ。