最新記事

中国

中国選手を絶賛するバッハ会長と五輪を政治利用する菅政権

2021年8月2日(月)08時00分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
IOCバッハ会長

IOCのバッハ会長 Issei Kato-REUTERS

7月29日、バッハ会長は中国の単独取材を受け中国選手の活躍を絶賛した。一方21日にIOCは北京冬季五輪有観客開催の期待を表明している。日本では政府のコロナ感染に対する国民の不満をかわすために東京五輪を開催したと31日に河村議員が明言した。

中国メディアの独占取材で中国選手の成績を絶賛するバッハ会長

7月29日、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は東京大会国際放送センター(IBC=International Broadcasting Centre)にある中国の中央広播電視総台(中央ラジオテレビ総局)CMG(China Media Group)を訪れ、単独取材に応じた。この取材に関して北京のCCTVは<東京オリンピックにおける中国選手の活躍を誇らしく思う>というバッハの言葉をタイトルにして大々的に報じた。

それによれば、バッハは以下のようなことを言っている。

●東京五輪に参加した中国の選手たちは、オリンピック精神に満ち溢れ、その成績を誇らしく思う。今日、私は水泳競技に立ち会う機会を得て、中国選手がまた新たな金メダルを獲得したのを目撃した。

●私が初めて中国に行ったのは1980年だが、現在の中国はスポーツにおいてだけでなく、あらゆる面で劇的に変化している。 私は、さまざまなスポーツイベントにおける中国のアスリートたちの傑出した活躍に感銘を受けている。中国は世界に驚くべき速度で発展している中国の姿を見せている。

●習近平国家主席の北京冬季五輪に対するイニシアチブに感謝し、3億人の中国人を雪と氷のスポーツに参加するように持って行くと約束したことに感謝する。

●2022年の北京冬季五輪において、熱情的に客をもてなす中国の人々が、世界に又とない記憶をもたらすと確信している。

●IOCと中国のCMGは常に密接な協力関係を保ってきた。北京冬季五輪は、私たちの協力関係におけるもう一つの重要なマイルストーンを創り上げると確信している。IOCは常に継続的にオリンピック・ムーブメントを支援し続けている貴局に心から感謝している。

中国のCMGが、わざわざバッハ会長を招いていた

中国の中央テレビ局CCTVは同日、もう一つの情報を発信していた。

バッハはCMGから東京五輪の中国チーム・ユニフォームを受け取った>というタイトルの情報の中で、CCTVは「バッハはCMGの独占取材を受けるためにIBCにあるCMGのスタジオにわざわざ特別に出向いた」と書いている。

中国語の簡体字で「専程」という文字があるが、これは「ある目的を達成するために、わざわざ、そこへ行く」という意味で、その目的とは、CMGの単独取材を受けるためだったことになる。

だから「わざわざお越しいただいたお礼に」と、CMGは東京五輪の中国チーム・ユニフォームをバッハにプレゼントし、バッハは喜んで受け取ったということが書いてある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P小幅安、FOMC結果待ち

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、雇用市場に依然底堅さ

ビジネス

米NEC委員長「利下げの余地十分」、FRBの政治介

ワールド

ウクライナ、和平計画の「修正版」を近く米国に提示へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中