最新記事
LGBT

4歳児も自分で性を選べるスコットランドの最新ジェンダー教育

Kids as Young as Four Can Now Change Gender in Scottish Schools Without Parental Consent

2021年8月16日(月)15時38分
エマ・メイヤー
LBGTを象徴するレインボーフラッグ

LBGTコミュニティを象徴するレインボーフラッグ FatCamera-iStock

<世界に先駆けて公立学校でLBGT問題の授業を義務化したスコットランドが、学校におけるトランスジェンダー学生の対応について革新的な指針を発表した>

スコットランドでは4歳の子供でも、親の同意なく学校における呼び名と性別を変更できることになったと、イギリスのテレグラフ紙が報じた。

スコットランド自治政府は新たなLGBTQ+(同性愛など全ての性的少数者)インクルーシブ教育のためのガイドラインを策定し、それを70ページに及ぶ文書にまとめて8月12日に発表した。このガイドラインによれば、教師は性別を変えたいという意思を示した生徒に疑問を呈してはならず、生徒に新しい名前とどのような代名詞を使ってほしいかを尋ねることが求められる。

このガイドラインに沿う形で、政府は学校に対してトランスジェンダー(体と心の性が一致しない人)の学生がトイレとロッカールームに関して、男性用、女性用どちらでも好きな方を使用できるようにすることを要請してきた。性別にとらわれないジェンダーニュートラルな制服の選定や、トランスジェンダーのキャラクターを含めた授業や教材の開発も進んでいる。

ジョン・スウィニー副首相兼教育相は7月、スコットランドはすでにヨーロッパで最も進歩的な国の一つと考えられているという声明を出した。

「私たちは、学校のカリキュラムにLGBTI*インクルーシブ教育を組み込む世界で最初の国になることを発表できることを嬉しく思う」と、スウィニーは述べた(*LGBTIのIはインターセックス、男女どちらでもあったり、どちらでもない状態のこと)。

親には知らせなくてもいい

今回のガイドラインには、「カミングアウト」の年齢に関する要件はない。たとえ親に言えない場合でも、子どもの意見や要求は尊重されるべきとしている。

「トランスジェンダーの若者は、自分の性同一性障害について家族に打ち明けていないかもしれない。だが不注意に事実を公表することは、若者に余計なストレスを与えたり、危険にさらしたり、法律に違反する可能性もある。従って、若者の意見や権利を考慮、尊重することなく、親や保護者と情報を共有するべきではない」とガイドラインは述べている。

人権擁護団体は、この新しい政策が学生の「健全な成長」を助けるだろうと述べ、ガイドラインへの支持を表明する。

イギリスのLGBTQ+の権利保護団体ストーンウォールを率いるコリン・マクファーレンは本誌にこう語った。「トランスジェンダーの学生は安全かつその存在を受け入れてくれる環境で教育を受ける権利がある。だからスコットランド政府の学校におけるトランスジェンダーの若者支援に関する最新のアドバイスは非常に重要だ。スコットランド全土の教師や学校にとって、このガイドラインが教室の内外を問わず、すべての若者の健やかな成長をより良く支える力になることを願っている」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:マムダニ氏、ニューヨーク市民の心をつかん

ワールド

北朝鮮が「さらなる攻撃的行動」警告、米韓安保協議受

ビジネス

NY外為市場=ドルおおむね下落、米景気懸念とFRB

ビジネス

ステーブルコイン普及で自然利子率低下、政策金利に下
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中