最新記事

アイウエア

在宅勤務で目の疲れに悩む現代人...ブルーライトだけじゃないリスク要因

FOR YOUR EYES ONLY

2021年5月20日(木)16時24分
マデレン・デュシャーム

全米眼科学アカデミー(AAO)は、ドライアイの最大の原因は、画面を見つめ続けることによる、まばたきの回数の減少だとしている。一般に、人は1分間に15回まばたきをするが、画面を見ているときは5〜7回になるという。従ってドライアイを防止するためには、意識的にまばたきをするよう心掛けるか、人工の涙(つまり目薬)を差すのが有効なようだ。

また、画面に目が近過ぎると、まばたきの回数は一段と減る可能性がある。コロナ禍を機に自宅にホームオフィスを設置しようという人は、自分と画面との間に50〜66センチの距離ができるようなデザインにすることが望ましい。

定期的に画面から目を離す時間をつくることも重要だと、専門家は言う。ハーバード大学医科大学院のニメシュ・パテル講師(眼科学)は、意識的にコンピューターの前から離れて、至近距離に目の焦点を当てなくてもいい作業をする時間をつくることを推奨する。

「仕事が押していて、そんなの無理」という人には、「20・20・20のルール」を実践することをAOAのレイノルズは奨励する。「20分おきに、20フィート(約6メートル)離れた場所を、20秒間見る」習慣だ。

目が疲れる本当の理由

それさえも厄介だという人には、確かにパソコン用メガネをかけるのが楽かもしれない。ただ、メガネで一番重要なのは、ブルーライトをブロックするかどうかよりも、自分の視力に合ったメガネやコンタクトレンズを使っているかだ。パソコンやスマホで目が疲れているのは、ブルーライトではなく、視力そのものが悪化しているせいかもしれない。

コロナ禍で、大病院に行くことだけでなく、歯科医や眼科医も敬遠する人が増えているが、目の疲れがひどいなら、先延ばしにしていた視力検査を受けるのもいいかもしれない。そして必要であれば、眼科医の処方箋どおりにメガネを調整してもらうことが、目の疲れを取る、より確実な方法かもしれない。

実際、メーカーが唱える「目が疲れるのはブルーライトのせい」という説に、「強力な証拠はない」と、パテルは言う。ただし、ブルーライトを見る時間を減らすと、睡眠の質がよくなる可能性はある。

応用心理学ジャーナルに最近掲載された論文によると、ブルーライトはメラトニンの分泌に影響を与えることが分かっているから、夜デバイスを使うときはそれをブロックすれば、眠りやすくなる可能性がある。

ただ、「電子機器が睡眠や体内時計に与える悪影響のほとんどは、デバイスが発する光のせいではない」と、スタンフォード大学のジェイミー・ジーツァー准教授(睡眠医学)は語る。「本当に悪いのは、長時間にわたりユーザーを夢中にさせる(アプリやゲームの)仕組みだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋

ビジネス

投資家がリスク選好強める、現金は「売りシグナル」点

ビジネス

AIブーム、崩壊ならどの企業にも影響=米アルファベ

ワールド

ゼレンスキー氏、19日にトルコ訪問 和平交渉復活を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中