世界の経済政策リーダーに女性続々 コロナ禍克服へ新風
米国心理学会の研究によると、米国では女性知事の州が新型コロナウイルスによる死者数が男性知事の州よりも少なかった。またハーバード・ビジネス・レビューによると、昨年3月から6月に6万人の指導者を対象に実施した360度評価で、女性の方が大幅に高い得点を得た。
IMFの調査によると、金融機関の最高経営責任者(CEO)の女性比率は2%未満で、執行役員会メンバーに占める比率は20%未満だが、女性が経営している金融機関は財務の耐性と安定性がずっと優れていた。
国際連合の顧問で非営利団体幹部のエリック・ルコント氏によると、イエレン氏がキリスト教やユダヤ教の団体の指導者と先月行った会談は、従来とはっきりと違っていたという。
「財務長官とこの20年間会談してきたが、彼らの論点はそれぞれ完全に異なっていた。イエレン氏は話し合ったすべての分野で共感を強調し、最も弱い立場のコミュニティーに政策が与える影響を重視した」と言う。
男性の前任者たちは「確実な事実のみ」に基づくアプローチを取り、最初に「人々ではなく数字」に焦点を当て、「弱者」といった言葉を使うことは一切なかったと言う。
「リセッション」でなく「シーセッション」
女性指導者の持つ意味は大きい。
エコノミストの多くは、新型コロナ流行による世界的な景気後退(recession)は実際には「シーセッション(she-session)」だと指摘している。コロナ禍で大きな影響を受けたのは女性だからだ。
マッキンゼーの最近の調査によると、女性は世界の労働力に占める割合が39%だが、失われた雇用に占める比率は54%だった。米国ではコロナ危機で消えた1000万の雇用の半分以上が女性で、労働市場から退出した女性は合わせて200万人を超える。
IMFの試算によると、このような女性が復職した場合の国内総生産(GDP)の押し上げ効果は米国で5%、日本で9%、アラブ首長国連邦(UAE)で12%となり、インドでは27%にも達する。
ゲオルギエワ氏は6日、IMFは医療、教育、社会保障、女性の権利促進など、これまで無視されてきた課題に各国が重点的に復興資金を充てるよう、量的な目標を設けたと説明。「そうしなければ不公平が悪化する恐れがある」と述べた。
世界銀行の首席エコノミスト、カーメン・ラインハート氏はロイターの取材で、女性指導者の増加が、「コロナが残す非常に多くの課題において、本当の意味でよりインクルーシブな(一体となった)対応につながる」と述べた。
有色人種女性初のUSTR代表となったタイ氏はスタッフに対して、「既存の枠から出て」、多様性を取り入れ、長い間ないがしろにされてきたコミュニティーと対話するよう呼びかけた。
アフリカ出身者として初めてWTOのトップに就いたオコンジョイウェアラ氏は、女性の必要性に対処することは、各国政府や国際機関における深刻な信頼失墜の立て直しに向けた重要な一歩だと指摘。「これまで通りのやり方に埋没してはいけない。重要なのは人間であり、インクルーシビティ(誰もが参加できること)であり、普通の人々がまともな職に就けることだ」と述べた。
(Andrea Shalal記者)
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