最新記事

独占インタビュー

【Newsweek独占】訪米中の菅首相が単独取材で答えた「日米関係」「中国問題」「東京五輪の行方」

Exclusive: Japanese Prime Minister Yoshihide Suga, Biden's First Foreign Visitor, on the Challenge of China

2021年4月19日(月)18時35分
ビル・パウエル(本誌ワシントン特派員)

「中国に具体的な行動を強く要求する」

――このところ中国に対する国際社会の風当たりは厳しさを増している。特に新疆ウイグル自治区における人権侵害、香港における自由の抑圧が批判されている。習近平主席は昨年5月に訪日が予定されていたが延期になった。今の状況でも北京を訪問するなり、習を東京に招いて、日中首脳会談を行う考えはあるか。

重要な隣国である中国と安定した関係を保つことは、日本と中国のみならず、地域全体、さらには国際社会にとって不可欠の重要性を持つ。

日中間には、あなたが指摘されたような困難な課題など、未解決の問題がいくつかあるが、それらは日本だけでなく、国際社会も懸念している問題であり、日中間の困難な問題の解決は、日中関係のみならず、世界全体にとって重要だ。

日本政府としては、国際社会の平和と繁栄を守るため、引き続きハイレベルの折衝その他の機会を活用し、主張すべきはしっかりと主張して、中国に具体的な行動を強く要求する考えだ。

習主席を国賓として招聘できる状況にするには、まずパンデミックの抑え込みに集中しなければならず、今はまだ日程を調整できる段階ではない。

しかし、先ほども述べたように、中国との安定した関係の確保は非常に重要だ。それをどう確かなものにするか、私は常に考えている。

――トランプ政権末期に、退任を控えたマイク・ポンペオ前国務長官は新疆ウイグル自治区で起きていることを公式の場で「ジェノサイド」と呼んだ。後任のアントニー・ブリンケン国務長官もこうした見方を認め、やはり「ジェノサイド」という言葉を使っている。中国は新疆ウイグル自治区でジェノサイドを行なっていると思うか。それが今の米政府の立場だが、日本政府も同じ立場か。

再三述べてきたように、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的かつ普遍的な価値を支持することが、われわれの強固な政策だ。中国でさえ、こうした価値を支持すべきだと、私は確信している。

新疆ウイグル自治区および香港の状況については、(39カ国が)国連人権理事会を通じて(中国のやり方に懸念を示す)共同声明を出したが、日本はアジアの国では唯一、これに賛同し声明に署名した。

――日本経済の回復には何が必要か。日本が力強い回復を遂げるのはいつになると予想するか。

昨年、新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以来、日本政府は総額300兆円に上る経済対策を実施している。飲食店の営業時間短縮要請を中心に、的を絞った対策も行った。おかげで、今年に入って始まった感染急増を緩和できた。

つまり、一部の国の政府とは異なり、日本の措置はかなり限定型で効率的なものになっている。その結果、感染者数はヨーロッパやアメリカと比べて少なく、失業率は2.9%で、先進国中で最も低い。

株価が昨年から上昇を続けていることも事実であり、IMFによれば、日本経済は今年末までに新型コロナ以前のレベルに回復する見込みだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、長期期待インフレは93年

ワールド

カナダ外相、米国務長官と率直な協議 関税や主権など

ワールド

カナダでカーニー新首相就任、元中銀総裁 米との貿易

ワールド

G7外相会合、ウクライナ支持で一致 「一つの中国」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の「トリウム」埋蔵量が最も多い国は?
  • 4
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 5
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先…
  • 6
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 7
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「天然ガス」の産出量が多い国は…
  • 9
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 10
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 8
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中