最新記事

コロナ禍の世界

「顔コンドーム」「マスクばか」......ドイツで新型コロナから生まれた新語は1200語

2021年4月30日(金)15時30分
松丸さとみ

人は名前がないものに対して恐怖や不安を抱くこともあるが、それに名前が付くと恐怖心が和らぐという......LeManna-iStock

<ドイツで、新型コロナ関連で生まれた新語が1200語に上ることが明らかになった。人は名前がないものに対して恐怖や不安を抱くこともあるが、それに名前が付き、それについて会話ができるようになると、恐怖心が和らぐという...... >

「トイレットペーパー・ハムスター」、「顔コンドーム」など個性的な新語も

「ソーシャル・ディスタンス」や「3密」など、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて作り出されたり新たな意味が付加された言葉は日本語にも多くあるが、ドイツでは、新型コロナ関連で生まれた新語が1200語に上ることが明らかになった。通常の場合、1年間にドイツで生まれる新語は200語程度とのことから、いかに多いかがうかがえる。

ドイツの研究組織、ライプニッツ協会のドイツ語研究所はこのほど、新型コロナのパンデミックに伴い生まれたドイツ語をまとめ、ウェブサイトで公開した。英ガーディアン紙によると、これらの言葉は、同研究所の研究者3人からなるチームが、報道やソーシャルメディア、その他のインターネット上で使われている言葉を調べて集めたものだ。

ドイツ語は、既存の単語2つ以上を組み合わせて、新しい言葉を作る場合も多い言語だという。例えば、対人距離(ソーシャル・ディスタンス)を取ることを表現するために、Mindestabstandsregelung(最小間隔を意味するMindestabstandと、規制を意味するregelungの複合語で「最小間隔規制」)や、Anderthalbmeter­gesellschaft(1.5を意味するAnderthalb、メートルを意味するMeter、社会を意味するGesellschaftの複合語で、「1.5メートル社会」)といった言葉が生まれた。

また、英単語から新しい言葉が作られることも少なくない。ドイツの国際公共放送ワシントン・ポスト(DW)によると、例えば「Social-Distancing-Shaming」は、英語がそのままドイツ語になったもので、公共の場で安全な距離を保っていない人を叱る人物を指す言葉だという。

興味深い新単語としては、Zoom(オンラインのビデオ会議システム)のしすぎで疲れた状態のOverzoomed(ズーム疲れ)や、Klopapierhamster(トイレットペーパー・ハムスター、トイレットペーパーをハムスターのように買い溜めする人という意味)などもある。

マスクを意味する言葉も多彩

ベルリン自由大学で言語学を教えるアナトル・ステファノヴィチ教授は米ワシントン・ポスト紙に対し、第2次世界大戦以降で、新型コロナのパンデミックほど劇的かつ急速にドイツ語の語彙を変えたものは、他に思い当たらない、と話した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中