最新記事

新冷戦

米ギャラップ調査、中国とロシアに対する好感度が歴史的低水準に

Americans Hold Record-Low Opinion of China, Russia As Biden Takes Both On

2021年3月2日(火)14時40分
デービッド・ブレナン

中国の習近平(左)とロシアのプーチンはそろってコワモテ Maxim Shemetov- REUTERS

<米政府と同様、有権者もアメリカの覇権に挑む中国とロシアを警戒>

アメリカで実施された最新の世論調査によれば、ロシアと中国に対する米有権者の好感度は、歴史的な低水準に落ち込んでいる。ジョー・バイデン米大統領は、いずれも核保有国である両国に、勢力争いを挑む構えを見せている。

ギャラップ社が実施した世論調査では、中国に対して好意的な見方をする米国民の割合は20%に、ロシアに対して好意的な見方をする米国民の割合は22%に減少。どちらの国の好感度スコアも、同社が調査を始めて以来の最低を記録した。

調査は2月3日から18日にかけて、アメリカの全50州とコロンビア特別区に暮らす成人1021人を対象に実施された。標本誤差は4ポイントだ。

中国に対する米国民の好感度は、世界が新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われた過去1年で急激に落ち込んだ。加えて、中国が新彊ウイグル自治区や香港、チベットで人権侵害を行っていることや、インドとの国境地帯、南シナ海や台湾をめぐって領有権争いを展開していることへの怒りも影響した。中国の好感度は2019年から2020年にかけて既に8ポイント落ち込んでいたが、2021年にかけてさらに13%下落した。

ドナルド・トランプ前米大統領は、中国に対する敵意をむき出しにして幅広い品目を対象に制裁関税を課し、新型コロナウイルスの感染拡大は中国共産党に責任があると公然と非難した。また大統領選では対中政策を争点として利用し、バイデンは中国に対して弱腰だと批判した。

ワシントンの見解と国民感情が一致

バイデンは選挙期間中から、権威主義的な中国共産党に対しては強硬姿勢で臨むと宣言。大統領就任後は国防総省に対中封じ込め戦略の強化を指示し、中国共産党による人権侵害や貿易慣行を批判している。

ワシントンでは近年、中国がアメリカの覇権や世界の民主主義にとっての脅威だという点について、党派を超えた合意がある。今回ギャラップが実施した世論調査では、回答者の79%が中国に対して好ましくない印象を持っていると回答しており、ワシントンの議員たちの見解が世論の支持を得ていることを示している。

今や中国に対する米国民の好感度は、中国政府が民主化を求める学生を弾圧した1989年の天安門事件の直後よりも悪化した。

対中好感度は特に共和党支持者の間で低く、中国に対して好意的な見方をする人は2020年から13ポイント減って、回答者の10%だった。民主党支持者については、中国に好意的な人は前年比8ポイント減の27%、無党派では前年比17ポイント減の22%だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米副大統領、グリーンランド訪問 「デンマークの保護

ビジネス

米ミシガン大消費者調査、5年先インフレ予想4.1%

ワールド

米関税に「断固たる対抗措置」、中国国営TVが短文サ

ビジネス

米2月PCE価格+2.5%、予想と一致 スタグフレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 9
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中