世界的なコンテナ不足が、世界の景気回復のブレーキに?
輸送費だけでない荷送人への負担
荷送人への負担は、コンテナ運賃の急上昇にとどまらない。フランスの荷主協会AUTFは、11月27日に発表したプレスリリースの中で、「価格の高騰とサービスの低下に加えて、海運業者は荷送人に多くの追加料金を課している」と非難している(ストラテジー・ロジスティック誌, 11/30)。
以前は10日前で済んだ予約も、現在は平均50日も前にする必要がある、という。それにもかかわらず、オーバーブッキングが多いため、キャンセルされることも少なくない。
無事に港まで届いた後も、荷送人の受難は終わらない。作業員が不足していることや、感染予防のための手続きが煩雑であることが理由で、コンテナが港に長く滞留され、時間も費用も余分に掛かるのだ。
このコンテナ運賃の価格高騰が各国の輸出増加を阻害し、世界の景気回復のブレーキとなりかねないと危惧されている。
海運業者のひとり勝ち?
11月27日のプレスリリースの中で、フランスの荷主協会AUTFは、海運業者は、新型コロナウイルスを要因とする一連の状況を「故意に長引かせ、経済的な利益を得ている」と批判している。
確かに、世界的にパンデミックを理由とする制限策で、経済的被害を受ける業界が多い中、海運業者は逆に恩恵を受けたかに見える。実際、Investing.com(1/19)によれば、業界最大手のA.P.モラー・マースクの株式は、「11月半ばから(中略)34%上昇した」し、ドイツ大手海運業者ハパックロイドに至っては「同期間中に86%の上昇」、「10月と比べると倍増」という高値に達した。いずれも、1月20日前後をピークとし、その後わずかに下がりはしたが、2月9日現在いまだ1月上旬に匹敵する高値を保っている。
フランスEDHEC経営大学院のフィリパール教授は、海上輸送費は春節休暇明けに下がるであろうと予測している。そのほかも、パンデミックが収束に向かえば、自然と消費傾向も元に戻り問題は解決するというのが大方の見方だ。
ただし、元通りになるには、荷送人をはじめ影響を受けるサプライチェーンの体力がそこまでもつ必要があるだろう。上述のテキスタイル業者の場合、20フィートコンテナの輸送費が2000USドルを超えるとすでに収益は見込めないという(ストラテジー・ロジスティック誌, 2/4)。すでに4400USドまで値上がりしている現在、どちらを向いても厳しい状況であることは明白だ。