最新記事

アメリカ政治

米上院選、ジョージア州の民主党勝利でバイデン次期政権が手にした恩恵

2021年1月12日(火)18時40分
メーガン・ロス

(左から)勝利を決めたオソフ、ワーノックとバイデン JONATHAN ERNST-REUTERS

<上院で多数派の座を奪還し、立法と行政の両方を手にした民主党だが、忘れてはいけないオバマ時代の教訓も>

1月5日にジョージア州で行われた2つの連邦上院議員選挙の決選投票で、民主党の新人ラファエル・ワーノック(51)とジョン・オソフ(33)が、それぞれ共和党の現職を破って当選した。

黒人牧師のワーノックと、ユダヤ系ジャーナリストのオソフが南部のジョージアで上院議員に選ばれたことは、それだけで歴史的快挙だ。だが民主党には、ほかにも喜ぶべき大きな理由があった。

この2議席により、民主党は上院で多数派の座を奪還したのだ。2015年から上院を支配してきた共和党は、昨年11月の一部改選で、100議席中50議席を維持。民主党は48議席となっていた。

つまりジョージアで1勝でもすれば、共和党は上院で過半数を維持できた。だが、2議席とも民主党に奪われ、少数派に転落した。なぜなら、採決が同数の50対50に割れた場合は、上院議長を務める副大統領が1票を投じるルールがあるからだ。そして1月20日にジョー・バイデン大統領が就任すれば、その均衡を破るのは民主党の副大統領カマラ・ハリスになる。

しかも上院で多数派になれば、民主党は既に過半数を握る下院と、バイデンの大統領府も合わせて、立法と行政の両方を手に入れることになる。

この事実にとりわけ喜んでいるのが民主党左派だ。「進歩主義が重視する争点の全てにおいて可能性が広がる」と、草の根政治団体の「進歩主義改革運動委員会(PCCC)」の共同創設者であるステファニー・テイラーは語る。

多数派といっても、共和党との議席差は上下院ともごくわずか。このため民主党指導部は、党内を一致させてバイデン政権の運営を助けるためにも、進歩主義のアジェンダにもっと歩み寄るのではないかと、左派は期待している。

だが、そう簡単にはいかないだろうと、バージニア大学のジェニファー・ローレス教授(政治学)は語る。党指導部は、左派の支持を取り付ける一方で、党全体が左に傾き過ぎないよう注意する必要があるというのだ。

民主党には、2010年中間選挙の苦い経験がある。有権者は莫大なコストがかかるオバマケア(医療保険制度改革)や大企業救済など、オバマ政権の左寄りの政策に反発。民主党はそれまで支配していた上下両院で大敗を喫し、下院では野党に転落した。

2022年の中間選挙で「同じ轍を踏まないことが、(民主党の)最重要課題となるだろう」と、ローレスは指摘する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-米政府、海上停滞中のイラン産原油売却を容認 

ワールド

米国防総省、パランティアのAIを指揮統制システムに

ビジネス

米ユナイテッド航空 、秋まで運航便5%削減 中東情

ワールド

米、イラン戦争の目標達成に近づく=トランプ氏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    メーガン妃、親友称賛の投稿が波紋...チャリティーの場でにじんだ「私的発信」
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    BTSカムバック公演で光化門に26万人、ソウル中心部の…
  • 5
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 9
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 10
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中