最新記事

韓国社会

韓国またも宗教団体がクラスター発生源に コロナ陰謀論唱えるキリスト教団体など各地で感染拡げる

2021年1月25日(月)20時50分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

最終的に520名の感染者を生むこととなった尚州市にある宗教施設BTJ列邦センター YTN News / YouTube

<「コロナはゲイツなどエリートによる陰謀」と信者に話す教団でクラスターが......>

これまで新型コロナウイルスの感染拡大を、独特のアイデアと行動力で乗り越えてきた韓国。ドライブスルー検査やスマホの位置情報をもとにした感染者追跡などは世界中から注目されてきた。

昨年末には感染第3波が到来したが、すぐに具体的な防疫対策強化がとられて、感染者数も徐々に落ち着きを見せはじめた今、またしても宗教団体からのクラスターが発生し、韓国民の怒りをあつめている。

宗教団体からの深刻なクラスター発生は、韓国ではなんと今度で3回目だ。1度目は新型コロナウイルスの感染が深刻化しはじめた昨年2月、韓国内での感染を拡大させるきっかけともなった大邱市での「新天地イエス教会」でのクラスターだ。

狭い礼拝堂で密になってのミサや、信者らが別の教会の信者を装って、こっそりと宣教をして回るという手口で、韓国全土へ一気に感染が拡大してしまった。

感染第2波を引き起こした極右の教会

そして2度目は、韓国に第2波が直撃した8月の「サラン第一教会」によるクラスターである。

この教会は宗教団体でありながら、極右的政治団体としての活動も行っており、昨年8月15日には集会禁止令を無視して文在寅政権糾弾デモ集会を決行した。

後日行われるであろう警察によるデモ参加者の追跡調査を逃れるため、数日前からクレジットカードの使用禁止や、GPS対策としてスマートフォンの電源を切っておくよう指示するなど、故意に捜査を混乱させ問題となった。

結果、デモ集会ではサラン第一教会代表であるチョン牧師を含む650名を超える信者が感染し、その後2次・3次感染と全国に拡大していった。

コロナ禍でも1泊2日の集会を開催

そして、今年1月。3度目となる宗教団体によるクラスターは、慶尚北道の尚州市にある宗教施設BTJ列邦センターから発生した。BTJ列邦センターのBTJとは、"Back To Jerusalem"(もしくはJesus)を意味するという。ここは、1983年に設立された韓国の改新教の一つである宗教団体「InterCP」の教育施設である。

InterCPは、BTJ列邦センターで定期的に1泊2日の集会が行われていたそうだ。昨年10月9・10日には600名規模の集会が行われたが、そこでは「コロナウイルスは、ビル・ゲイツを含む一部のエリートたちによって作られたもの」という陰謀論的な発言があったという。

さらに、InterCP代表チェ・バウル氏は、7月に京畿道の教会での説教にて「DNAワクチンを打てば奴隷になる」という発言をしたことも認めている。これらの発言が示すように、InterCPは新型コロナウイルスに対して偏った考えを信者に唱えている団体だと伺える。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中