最新記事

動物

韓国、コロナ禍で動物たちが危ない 潰れる動物園、規制のない動物カフェ

2020年11月16日(月)19時12分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

韓国の動物カフェにはコロナ感染対策で輸入禁止となったジャコウネコの姿が…… MBN News / YouTube

<熱しやすく冷めやすい国ではコロナの影響で動物たちも犠牲に──>

韓国の特徴の一つとして、特色のある飲食店などで人気に火が付くと、街中にそのスタイルをパクった店があふれる、という現象がある。熱しやすく冷めやすい国民性がそうさせるのか、トレンドの流れが速い韓国では、消費者が流行り物に飛びつきやすい傾向があるようだ。

しかし、全く新しいスタイルの店が一気に急増すると、規制が追い付かずグレーゾーンのまま開業している店や、流行が過ぎ去った後の処理など、様々な問題が起きることもある。最近では、それが動物の命に係わるようなトラブルのため、対応が急がれている。

韓国では2016年頃から「室内動物園」と呼ばれる民間の動物園が登場し大流行した。これは、一般的な動物園の展示動物より比較的小さな草食動物を中心に、室内でこぢんまりと運営されている「ふれあい動物園」のような施設だ。

子供にも人気で、親子連れやデートするカップルなどで溢れていた。しかし、今年のコロナ・パンデミックをきっかけに営業自体が難しくなり、廃業に追い込まれている室内動物園も多い。そうなると、問題なのは、残された動物たちである。

移動させようとした動物たちのほとんどが死んだ

動物園が閉園に追い込まれると、動物たちはその場に放置されたまま、ろくに世話もされず死んでしまうケースもあるという。収入が無い状態でスタッフは解雇され、経営者だけですべての動物の世話を行っているため、当然動物たちに手が行き届かない。命を扱っている意識が薄すぎるのではないだろうか。

この問題は10月上旬にはKBSニュースの中で「廃園動物園の不良な管理」というタイトルでこの問題を取り上げられ話題となった。記者が2店舗の廃園した室内動物園を取材しており、どちらも放置された動物たちの様子が映し出されていた。

換気のできないような小さな部屋で、動物の入った小さいゲージが何段にも積まれて置かれたままになっている様子や、何日も変えられていないような汚い水入れ。掃除も行き届いていないようで、ケージの底に溜った排泄物も見える。

映像を見ていると、必死に訴える動物たちはエサもちゃんと与えられているのか心配になってくる。ゲージに何羽も一緒に入れられた鳥は毛並みも悪く、閉園後世話もろくにしてもらっていないのだろう。「他の支店に移動させる段階で、ほとんどの動物たちが死んでしまった」というスタッフの証言も放送されている。

この経営者たちはこれまでどのように動物に接していたのだろう。動物たちは、お金を生む道具としか考えていなかったのかもしれない。コロナのせいで稼げなくなった今、動物たちは小さな部屋の隅で邪魔もの扱いされている状態だ。

一方でこんな問題も発生している。韓国ではここ数年、ユニークなカフェが人気だ。最近では珍しい動物カフェに火が付き、一気に急増した。猫カフェなどは日本でも多く見かけることができるが、韓国ではだんだんエスカレートしていき、他店との区別化を求めて珍しい動物を置くカフェが次々と誕生している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英BP、カストロール株式65%を投資会社に売却へ 

ワールド

アングル:トランプ大統領がグリーンランドを欲しがる

ワールド

モスクワで爆弾爆発、警官2人死亡 2日前のロ軍幹部

ビジネス

日経平均は4日ぶり小反落 クリスマス休暇で商い薄く
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中