最新記事

アメリカの一番長い日

米大統領選:トランプ「逆転勝利」に奇策あり

THE BATTLE GOES TO THE SECOND STAGE

2020年11月7日(土)17時40分
小暮聡子(本誌記者)

AMYKOTANI.JPG

トランプが任命した新最高裁判事バレット(左)の出番はあるのか TOM BRENNERーREUTERS

彼らにとってみれば、今の民主党は左傾化が進んでいて、付いて行けない。また、自分たちは2度民主党に裏切られたという気持ちがある。まず、かつて奴隷制度を支持していたのは民主党だった。さらに、今の民主党では有色人種が求めていることには応えられないと考えている。

例えば、バイデンは上院議員と副大統領を務めてきたが、黒人の地位向上のために一体何をしてくれたのか、と。選挙直前に開かれた大統領候補者討論会でも話題になったが、バイデンは1994年の犯罪法の立案者であり、この法律によってちょっとした軽犯罪で投獄される黒人が飛躍的に増えた。副大統領候補のカマラ・ハリスも予備選では、バイデンが過去に人種差別主義の上院議員に協力したことを批判していた。

BLM(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大事)運動にしても、選挙や反トランプのために行われているのであって自分たちのためではないと思う黒人もいる。自分が求めているのは暴動ではなくトランプが主張する「法と秩序」だという人もいる。

BLEXITは(陰謀論組織の)Qアノンほど注目されてはいないが、この運動によって数%でもトランプに票が動けば激戦州では絶大な影響力を持ってくる。

――トランプ陣営の今後の戦略について。ここまで僅差の接戦となったことで、トランプは法廷闘争に持ち込みやすくなったのではないか。

コロナを恐れて投票所に行かずに郵便投票をする人は、共和党支持者よりも民主党支持者のほうが多いとみられていたため、トランプは郵便投票は不正につながると繰り返し発言し、いわば布石を打っていた。郵便投票の票数で勝敗をひっくり返されて負けたときには、郵便投票は不正であると主張するつもりだった。

トランプ陣営としては開票後のできるだけ早い時点で決着をつけて、その後に出てくる郵便投票の開票を止めようと考えていたようだ。それを今、実際にやろうとしている。

――その作戦は、成功するのか。

私は、成功しないと考えている。最高裁に訴訟が持ち込まれた場合、民主主義の根幹に関わる話なので、トランプをおもんぱかった判断をすれば最高裁の権威も失墜するだろう。たとえトランプに指名された保守派の判事であっても、そこは常識的な判断を下すのではないかとみている。

最高裁首席判事のジョン・ロバーツや、トランプが任命したブレット・キャバノー、最近就任したエイミー・コニー・バレット両判事は、2000年大統領選でアル・ゴア対ジョージ・W・ブッシュがフロリダ州でもめたときに弁護士としてブッシュ陣営に入っていた。

そのためこの3人はトランプに有利な判断をするのではないかと言われており、トランプ陣営も期待はしているだろうが、あの時はブッシュ陣営に雇われている弁護士だったので当然ブッシュ側の立場で主張をしていた。今は最高裁判事という肩書であり、郵便投票をカウントしないという判断にはならないのではないか、と思う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

カナダ・メキシコ、米の一律関税免除 移民・麻薬巡る

ビジネス

関税でインフレ長期化の恐れ、輸入品以外も=クーグラ

ワールド

イラン核開発巡る新たな合意不成立なら軍事衝突「ほぼ

ビジネス

米自動車関税、年6000億ドル相当対象 全てのコン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中