対中デフォルト危機のアフリカ諸国は中国の属国になる?
Does China Engage in Debt Trap Diplomacy?
さらに問題を複雑にしているのは、中国の国有機関だけでなく、民間企業もアフリカ諸国に融資していることだ。ジョンズ・ホプキンズ大のチームによれば、30余りの銀行と企業がアフリカのインフラ事業などに融資をしていて、その一部は市場金利に基づく利払いを求めている。これらについても融資条件の再交渉が必要になる。
今のところG20は民間企業に対しては、合意がまとまった返済猶予に協力するよう呼びかけるにとどまり、世銀も中国政府に対し、国内の債権者に圧力をかけるよう求めただけだ。
とはいえ、中国が悪辣な高利貸しのように借金のカタに貧困国の資産を奪うといった見方には懐疑的な専門家もいる。
「全くもってナンセンス。ただの神話だ」と言ったのは、ロンド大学クィーンメリー校の准教授(国際政治)で中国の外交政策の専門家であるリー・ジョーンズだ。「借金苦にあえぐ途上国から建設したインフラを奪うつもりで、中国がわざと債務の罠を仕掛けているなどという考えは馬鹿げている。何の根拠もない作り話だ。
「そんなものは、インドのシンタンクが触れ回り、アメリカが政治的な理由から取り上げた理屈に過ぎず、そんなことは実際には起こっていない。中国が、建設しても使えなくて補修費も稼げないようなインフラにわざわざ金を貸すと思うか? もちろんだ。だがそれは発展途上国を罠にかけるためではない。国有企業に仕事が必要だからやっている。彼らは大変な過剰在庫を抱えて処分したくてたまらない。だから途上国の好意に甘えようとしているのだ」
中国の王毅外相が言うように、中国の命運が依然「一帯一路」に掛かっているのは言うまでもない。パンデミックの只中でも、中国とアフリカ諸国との貿易は増加しており、債務問題がどうなるかは注意深く見守る必要がある。世界人口の半分が直接関わる問題なのだから、その重要性は説明するまでもないだろう。
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