コロナで「脱グローバル化」なんてあり得ない──は本当か?
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<人と物の往来が途絶えた今、欧米では「グローバル化」の行く末が盛んに論じられている。いつか元通りになるのか、それとも世界秩序は形を変えるのか。例えば、コロナ禍で大打撃を受けた観光業はどうなるのだろうか>
『コロナ後の世界』(文春新書)、『アフターコロナ 見えてきた7つのメガトレンド』(日経BPムック)、『コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画』(文藝春秋)......。
新型コロナウイルス感染症が世界を覆い尽くし、その長期化が明らかとなる中、コロナ時代を展望した書籍が人気を博している。
雑誌やテレビ、新聞、ウェブメディアでも、業界ごとの影響を特集したり、個人の働き方に焦点を当てたりした記事が出ており、「これから世界がどうなるか」は人々の関心事だ。そしてもちろん、議論が盛んになっているのは日本だけではない。
とりわけ欧米で盛んに論じられているテーマのひとつが「グローバル化」だ。感染症が地球の隅々にまで蔓延し、あらゆる国が国境を閉ざし、人と物の往来が途絶えた。当たり前のように他の国に行けた「グローバル化した世界」は、瞬時にして姿を消した。
いつ元に戻るのか?
何十年と世界経済の発展を牽引してきたグローバル化が終わり、世界はこれから「脱グローバル化(deglobalization)」していくと、本気で考えている人はそう多くないのかもしれない。
しかし、例えば働き方について、以前と全く同じに戻ることはないなどと言われるように、あるいはキャッシュレス化など、以前から始まっていたデジタル化が加速するなどと言われるように、「グローバル化した世界」も完全には元通りにならないのではないか。
ニューズウィーク日本版では8月25日発売号で「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集を組み、国内外11人の識者に、新型コロナ禍でグローバル化がどうなるか、それが特定の業界や分野にどのような影響を与えるかを論じてもらった。
その1人、国際政治学者の細谷雄一・慶應義塾大学教授は、グローバル化の後退は既に10年近く前から論じられていたことを指摘しつつ、「グローバル化とはそもそも多面的で複合的」だと、安易な脱グローバル化論にくぎを刺す。
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一方、同じく特集寄稿者のウィリアム・ジェーンウェイ(ベンチャーキャピタリスト)は、グローバル化の第2波は2008年のリーマン・ショックと今回のパンデミック(世界的大流行)を機に「後退」局面に入るとしている(ジェーンウェイはグローバル化には2つの波があり、第1波は第1次大戦でピークを迎えたとする)。