日本人が持つイメージより、はるかに優秀で勤勉な外国人労働者たちのリアル
外国人労働者の実像は、日本人が持つイメージとは大きく異なる Blue Planet Studio/iStock.
<AIに仕事を奪われる前に、あなたにとって代わるのは外国人かもしれない>
バブル時代、公園にたむろしていた中東からの外国人を見かけて以来、コンビニの店員など日本でもすっかり身近な存在になった外国人労働者たち。だが不思議なことに、昨年の改正入管法施行まで、日本に「外国人労働者」はいなかった。
「そんなバカな」と思うかもしれない。だが法律的にはいなかったのだ。いたのは、ホワイトカラーと呼ばれるネクタイを締めて働く人たち、あるいは外国料理のコックのような技能専門職、そして外交、医療、宗教などの知識専門職だけである。
ところが、日本国内の多くの企業が求めてきたのは、いわゆる「現場労働者」。そこで、在留資格をめぐってさまざまな悲喜劇が繰り返されてきた。
浅草で行政書士事務所を経営し、おもに外国人の在留資格取得や起業支援をしている細井聡(大江戸国際行政書士事務所)は、これまで多くの外国人と関わってきた。「人をなめるのもいいかげんにしろというような外国人と出会う機会も多い」と言う細井だが、一方で「10年後、20年後、いや5年後かもしれない、『同僚は外国人』という時代がすぐそこまで来ている」とも言う。
ここでは、細井が最近上梓した『同僚は外国人。10年後、ニッポンの職場はどう変わる!?』(CCCメディアハウス)より一部を抜粋し、日本人が持つイメージとは大きく異なる、勤勉で優秀な外国人労働者たちの姿を紹介する。
<本書未掲載エピソード紹介(前編):一夫多妻制のパキスタンから第2夫人を......男性の願いに立ちはだかる日本の「重婚罪」>
<本書未掲載エピソード紹介(後編):トランプ、ルペンよりもっと厳しい? 外国人の子供に国籍を与えない日本の「血統主義」>
たくましくしたたか、ある中国の若者の人生設計
私が時々通っていた飲み屋に、働き者で頭も愛想もよい中国人留学生のアルバイトがいた。行政書士になってから、家の近くで彼とすれ違った。スーパーの買い物袋を下げていたので、「家はこの辺だったっけ」と尋ねると、「はい、マンションを買ったので」と言う。まだ就職して1年ちょっとである。すでに同郷の女性と結婚していて、今度、子どもが生まれるという。
「よくお金があったね」と聞くと、ローンを組んだらしい。永住者でない外国人が、日本の銀行からお金を借りるのは難しい。中国人に限って言えば、中国系の金融機関が、不動産を買うなら担保があるので貸すのだろう。それにしても、マンションを買うために頭金がいる。
しばらくぶりにその店を尋ねたときに、オーナーに「彼マンション買ったんだって?」と尋ねると、「そうなんだよ。うちで働いたあとに、朝まで営業している焼き鳥屋で働いてたらしくてね、学生時代に彼女と二人で頭金を貯めたらしい。たぶん五~六百は」とあきれていた。一方で、「すごいよねぇ、俺が20代のころなんて遊びたいばっかりで、そんな先を見通してなかったよ」と感心もしていた。
<参考記事:永住者、失踪者、労働者──日本で生きる「移民」たちの実像>