インドネシア大統領、怒りの演説に国民は「責任放棄」と不評 注目されたのは内閣改造という誤算
「7月中旬に3人交代説」有力か
「怒れる大統領の火のような激しい演説で閣僚に猛省を促した」とマスコミに報じられた演説については公開直後からその意図を巡っていろいろな憶測が飛んだが、マスコミの関心は「いつ、誰が閣外追放の対象」に集中し、これまでにアイルランガ・ハルタルト経済調整相、ルフット・パンジャイタン海事・投資調整相、テラワン・アグス・プトラント保健相などの名前が「交代候補閣僚」として名前が上がっている。
ただアイルランガ調整相は連立与党の一角を占める「ゴルカル党」の党首であり、同調整相の交代は与党内での新たな緊張と対立を招く危険があるとの見方も強い。さらにルフット調整相は国軍幹部出身で軍出身の他の閣僚による反発も予想されるなど「難しいのではないか」との見方もある。
これに対しテラワン保健相は一向に増加傾向が収まらないコロナ感染者数、感染死者数の「責任」を取らせるには「最適の閣僚」で新大臣の下でさらなるコロナ対策推進のシンボルとなる可能性はある。
ただしこの時期に困難な問題に直接直面して「あえて火中の栗」を拾おうとする後任の保健相が果たしているのかどうか、という問題も浮上しているという。
内閣改造の時期については経済団体の幹部が「7月中旬」に言及しているほか、8月17日のインドネシア独立記念日までには断行される可能性が高いなどの観測もでている。
ネット反応調査では45%が否定的反応
インドネシアの「社会経済教育情報調査機関」は演説が公開された6月28日から7月3日にかけてインターネット上のSNSなどに寄せられた国民の反応、コメントを分析した結果を6日に明らかにした。
それによると大統領演説に関して、インターネットを含めたあらゆるメディアを通じて約6000回の報道、言及、投稿があったとしている。その中にはFace BookやYou Tube,インスタグラム、ツイッターなどが含まれ、合計約63000の反応(コメントやリツイート)があったという。
そしてその約45%が否定的見解を表明し、約35%が肯定的に評価し、約30%が中立的な立場、姿勢を示した、としている。
大統領演説に対する否定的見解には「演説内容の表現が不適切である」「内閣改造は閣僚への脅迫である」「閣僚を批判することは大統領の指導力の欠如の表れである」「大統領の欲求不満」「計画、政策、人材活用が不十分なことを露呈」「大統領としての責任放棄ではないか」などという手厳しい批判が寄せられたという。