最新記事

対中同盟

日米欧「反中」議員連盟発足、中国の「切り離し」を呼びかけ

From U.S. to Japan, Lawmakers Unite to End 'Naive' China Strategy

2020年6月9日(火)13時00分
デービッド・ブレナン

E Uの警戒感は、次世代通信規格5G構築で世界最先端の中国ファーウェイ製品を導入するかどうかの問題にも波及している。ファーウェイ製品を自国のネットワークに組み込むと中国政府に情報が筒抜けになるとアメリカの警告にも関わらず、E Uは当初、ファーウェイを入札から排除しない方針だった。だが今は、欧州各国が次々とその方針を翻している。

イギリスのボリス・ジョンソン首相は与党保守党内の圧力で、ファーウェイを排除する姿勢に転換した。またカナダ保守党のガーネット・ジーニアス議員は、カナダは近年「中国と非常に難しいやりとりを続けてきた」と言う。その最たるものが、アメリカの要請で孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)をイラン制裁に違反した容疑で逮捕してから始まった「人質外交」だ。孟を拘束すると、中国は報復として中国にいるカナダ人2人の身柄を拘束した。

中国をめぐるこうしたあり得ないトラブルの数々は、「中国政府の攻撃性に対してどう対処するべきかについて、国民も敏感になり現実主義的になった」と、ジーニアスは言う。

完全な孤立は望んでいない

新型コロナウイルスに関する情報隠蔽も、「中国の全体主義と抑圧的なシステムは、カナダの安全保障に関わる問題だと気づかせてくれた」と、彼は言う。

どの国も中国に痛い目に合わされた経験があるため、各国の議員をIPACに召集するのは難しくなかった、とスミスは言う。「号令はかけた。すぐに行動しなければ」

だが今の中国は、1970年代、いや2000年代よりもはるかに豊かで影響力がある。中国政府と対抗するには、かなりの犠牲を支払わなければならないだろう。とりわけ今は、パンデミックのせいで世界中が不況に陥っているのだから。

スミスが熱心に支持しているイギリスのEU離脱は、いまだに不確実性に包まれ、経済の行く末も不安に満ちている。世界は今こそ変わる必要がある、と彼は言う。

「そう、これは厳しい決断になるだろう。だが、それは今、やらなくてはならない」と、スミスは主張する。「先に進めば進むほど、状況は悪化し、依存度も高くなり、決定を下すことがさらに困難になる」。

この変化は、多国籍の協力が必要になるほどの規模になるととスミスは言う。「どんな国も単独ではできない」

協力体制の構築は、中国を切り離す打撃を、いくらかでも和らげる役に立つかもしれない。「率直に言って、中国人の手に渡すわけにはいかない戦略的な分野が存在することを、政府は明言しなければならない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CB景気先行指数、8月は予想上回る0.5%低下 

ワールド

イスラエル、レバノン南部のヒズボラ拠点を空爆

ワールド

米英首脳、両国間の投資拡大を歓迎 「特別な関係」の

ワールド

トランプ氏、パレスチナ国家承認巡り「英と見解相違」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中