韓国プロ野球、コロナ禍で開幕遅れるMLBに代わりアメリカで人気
アジアンスタイルが新鮮?
他にも、アメリカにはない独特な「アジア式野球」もアメリカ人から興味をもたれているという。
例えば、ピッチャーに代わり打撃専門の選手がバッターボックスに立つ「指名打者制度」だ。アメリカの大手ニューステレビ局CNBCが韓国野球人気を特集した際には「韓国野球とメジャーリーグ野球の大きな違いの一つは、韓国野球では指名打者を許可している点だ」とし、「最近、MLBナショナルリーグでも投手の肩を守るため、また選手の活躍の場を増やすためにも採用すべきとの声が高まっている」と報じた。
アメリカンリーグでは、1973年以降採用されている「指名打者制度」だが、ナショナルリーグでは未採用。昨年には米大リーグ機構と選手会が制度導入を検討しているという報道もされ、実際この5月に発表された今シーズンの開幕案ではナショナルリーグでも導入することが打ち出されている。この動きにEPSNによる韓国野球の中継がどれだけ影響したのかは分からないが、新型コロナへの対応などで韓国野球について参考にしていたというので、「指名打者制度」を後押ししたかもしれない。
派手なパフォーマンス好きなところが共通
さらに、「バットフリップ」、日本で言うところの「バット投げ」のパフォーマンスもアメリカの野球ファンを魅了している要素の一つだろう。バッターがボールを打った後、走り出す際にバットを振り上げるバットフリップは、アメリカでもたまに見られるが、投手など相手選手を刺激してしまうなどの配慮からタブー視されている。よっぽどの劇的サヨナラホームランのときなど例外はあるにせよ、ホーム球場以外では見ることは少ない。
しかし、韓国の選手は、ホームラン以外にヒットでさえもバットフリップを行うことがあり、派手なパフォーマンスが好きなアメリカの野球ファンたちを虜にしている。その人気は、ESPNの公式サイトに「Korean Bat Flip」という特集コーナーが登場したほどだ。
アメリカでの韓国野球人気の秘密は他にもある。それは、ファンの応援スタイルにも見られる。
韓国には、日本のようなマスコットキャラクターの他に、応援歌に合わせて踊るチアリーダーが存在する。興味深いのは、フィールドの選手に向かってだけでなく観客の士気を挙げるため、観客席側を向いてダンスをする点だ。慶尚南道をホームにもつチーム「NCダイノス」の外国人選手アーロン・アルテールは「まるでコンサートを見ているようだ」とインタビューに答えている。さらに、これは日本でも見られる応援だが、各チームの歌だけでなく、各選手に合わせて歌が存在し、ファンが一緒に声を合わせて歌い応援する姿も外国から見れば新鮮なのだそうだ。