いつになったら経済は元に戻るのか──景気回復への長くて遠い道のり
GOODBYE YELLOW BRICK ROAD?
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<新型コロナでほとんど仮死状態に陥った経済が以前の水準に戻るのは1年後か、それとも10年後か>
いつになったら経済は元に戻るのか──。新型コロナウイルス感染症の拡大が、取りあえずピークを越えたように見えるなか、アメリカでは政府も国民も「ポスト・コロナ経済」へと関心が移ってきている。
ホワイトハウスの見解は一致していない。4月のある記者会見で、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問とスティーブン・ムニューシン財務長官は、米経済は7月には「盛り上がっている」と、極めて明るい見通しを示した。一方、ケビン・ハセット大統領上級顧問(大統領経済諮問委員会前委員長)は、米経済は「重体だ」と述べて、ピーター・ナバロ大統領補佐官に制止された。
景気回復とは、マイナス成長が底打ちして、プラスに転じることをいう。だが一般市民にとっての回復とは、経済がコロナ前の状態に戻ることだろう。これには時間がかかる可能性が高い。どのくらいの時間かは、政治ではなく科学が決める問題だと、著名投資家のウォーレン・バフェットは、5月2日のバークシャー・ハサウェイの年次株主総会で語った。
英シンクタンクのオックスフォード・エコノミクスの予測では、1〜6月期の米経済はマイナス12%成長となり、その後、少しずつプラスに転じるという。そこで、専門家が示す回復の見通しを、分かりやすい言葉で解き明かしてみよう。
まず、いい知らせから。
アメリカは第2の大恐慌には向かっていない。1929年に大恐慌が始まったとき、米経済は4年連続でマイナス成長に陥った。だが今回は「1930年代を繰り返すことはないだろう」と、ブルッキングス研究所ハッチンズ財政金融政策センターのデービッド・ウェッセルは言う。
「(トランプ政権は)迅速かつ攻撃的な金融・財政政策を打ち出してきた。議会は十分な仕事をしているとは言えないが、FRB(米連邦準備理事会)と共に、経済への影響を認識して、行動を起こしてきた」
完全な回復は4年以上先?
それでも、米経済がコロナ前の水準に戻るのは、2021年以降になるだろう。今年の成長グラフはジグザグを描く可能性が高い。新規感染者が減り、巨額の景気刺激策が発動されれば、一時的に経済は上向く。そこで緊張が緩み、あるいは秋にも感染拡大の第2波が到来すれば、再び成長はマイナスに転じる。ジグザグの幅が小さくなるのは、ワクチンの実用化や有効な治療法が確立されてからになるだろう。