最新記事

外出自粛

「火星探査」で学んだ隔離生活を楽しむ9つのコツ

Living Life at a Distance

2020年4月10日(金)18時30分
ケイト・グリーン(元科学者・ジャーナリスト)

日記をつける

NASAは宇宙飛行士に日記をつけるよう勧めている。彼らの悩みを知り、後に続く宇宙飛行士がそうした問題を克服する手助けをするためだ。悩みをぶちまけると、とても楽になる。日常生活を言葉や絵や映像などで記録するのもいいだろう。朝食に何を食べたかとか、同居人にむかついた、とかでもOK。

「儀式」を作る

私たちクルーは週2回集まり映画を楽しんだ。気乗りしないときや趣味に合わない作品もあったが、定期的なイベントを楽しみにするのはいいものだった。忙しくしているのも役に立った。何か作ったりしていれば、目の前のことに集中できる。

外に出る

もっと外に出られればよかったのだが、私に割り当てられたプロジェクトは、読み書きやクルーの睡眠データの整理など屋内作業だった。しかも「宇宙服」をきちんと着るには、数人がかりで10分以上かかる。

それでも、火山岩を踏み締め、洞窟の暗い入り口をのぞき込み、見上げた空が鮮やかな青ではなく赤くくすんでいると想像しながら、マウナロアの赤い溶岩原を歩くのは、いい気分転換になった。もしも可能なら散歩し、新鮮な空気を吸い、ほかの人と適度な距離を保ちつつ日差しをたっぷり浴びよう。

人と交流する

遠く離れた火星と地球ではデータ送信に最長24分かかるため、私たちの通信手段はeメールのみに制限された。フェイスタイムもツイッターもフェイスブックもインスタグラムもない。正直少しほっとした。毎日のメールや詩、短い動画メッセージなどが地球にいる人たちとの関係を維持したり、新しい人間関係を築くカギだった。

遠く離れた友人や家族と連絡を取り合うことも大切だ。幸い、火星でなければネットを使ってリアルタイムでやりとりできる。既にバーチャルの読書会やパフォーマンスやカフェデートが全米各地で行われており、大学の授業もオンライン化が進んでいる。

変化をつける

あるクルーは生物学の実験をいくつも抱え、2、3週間置きに新しいことに集中していた。エクササイズビデオを活用して毎日の運動に変化をつけているクルーも多かった。エアソファやエアチェアも用意されていたので、共有スペースの模様替えも簡単だった。環境を変えれば気分も変わる。仕上げたいプロジェクトが1つ終わったら次のことに取り組むようにして、生活に変化をつけよう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

SBI新生銀行、東京証券取引所への再上場を申請

ワールド

ルビオ米国務長官、中国の王外相ときょう会談へ 対面

ビジネス

英生産者物価、従来想定より大幅上昇か 統計局が数字

ワールド

トランプ氏、カナダに35%関税 他の大半の国は「一
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 9
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中