新型コロナ、見えない先行き──どうなれば「小康状態」や「終息」といえるのか?
今回の新型コロナウイルスでいうと、2月19日に開かれた政府の専門家会議で、国内の状況としてはすでに感染早期という初期の段階ではなく、拡大感染期に入ったとの意見が出ていた。現在(2020年4月初め)は、感染経路が不明な患者が各地で発生しており、国内感染期に入っているとみることができる。
そして、患者の発生が減少し、低い水準でとどまっている「小康期」に至れば一段落。大流行は一旦終息している状況だ。小康期には、生活や経済の回復を図り、流行の第二波に備えることとされている。ただし、この小康期に入るための数値基準は示されていない。
過去の感染症でみる「小康状態」
そこで、SARS、韓国でのMERS、新型インフルエンザが小康状態に至るまでの流れを、簡単に振り返ってみよう。
【SARS】
SARSは2002年11月に、中国広東省仏山(フォーシャン)市で流行が始まった。当時、WHOには、中国で妙な肺炎が発生している―とのレポートがなされていた。このレポートは中国語で書かれていて、タイトルだけが英語に翻訳されていた。残念ながら当時、情報伝達に用いられていたのは、英語とフランス語だけだったため、レポートの内容が翻訳して読まれることはなく、対応が後手に回ったとされる(※現在は中国語、アラビア語、スペイン語、ロシア語も用いられるようになっている)。
その後、香港、台湾、ベトナム、シンガポール、カナダ、アメリカなどに感染が拡大した。2003年3月に、WHOは警告レベルを引き上げて、感染地域への緊急渡航自粛勧告を発令した。そして、この感染症は「世界規模の健康上の脅威」であると宣言した。
これを受けて、感染地域各国では、徹底した患者の隔離や、海外からの入国者に対する検査が行われた。その結果、5月中旬にピークを迎えた感染は、6月下旬には急激に抑制された。
【韓国でのMERS】
一方、MERSの韓国での感染拡大では、2015年5月中旬から感染した患者が出た。感染していた中東地域からの帰国者が、いくつかの医療機関を受診したうえで入院したことで、あちこちの病院で二次感染が発生したとされる。6月上旬には感染が拡大していった。韓国では、最終的に38人の死亡者が発生した。
このときも、感染者の隔離を徹底したことで、6月下旬には感染拡大のスピードが低下した。また、韓国では感染が医療施設内にとどまり、市中感染には至らなかった。このことも、早期の封じ込めにつながった背景にあるといわれている。