最新記事

新型コロナウイルス

新型コロナ、見えない先行き──どうなれば「小康状態」や「終息」といえるのか?

2020年4月3日(金)13時45分
篠原 拓也(ニッセイ基礎研究所)

【新型インフルエンザ】

また、2009年の新型インフルエンザの感染拡大では、4月にアメリカやメキシコで、ブタ由来のウイルスが、人から人に感染する例が複数確認された。感染は若年層、特に子どもを中心に拡大した。WHOは世界的な広がりに対して、警戒水準のフェーズ(段階)を引き上げ、6月12日よりパンデミックに移行することを宣言した。

日本でも、5月から感染が始まったが、感染が拡大しつつあった大阪府や兵庫県で公立学校の臨時休校を行うなど、拡大防止措置が徹底されたことで、爆発的な感染拡大には至らなかった。日本では公的医療保険制度が整備されており、発症した人が少ない負担で医療施設を受診できたことも、拡大防止の背景にあったといわれている。

その後、北中米や南米の地域を中心に、世界での感染拡大は続いた。秋には感染者数の把握が困難となり、WHOは12月に感染者数の公表をやめ、死亡者数のみを集計することとした。しかし2010年に入ると、流行の状況は、通常の季節性インフルエンザとそれほど変わらなくなり、死亡者の発生はピークを越えた。8月10日、WHOは世界的な大流行は終結したとして、パンデミックを解除した。

コロナで「終息宣言」を出す条件

SARSは2003年7月5日にWHOより終息宣言が出された。これは、台湾で発生したSARSにかかった可能性のある患者を6月15日から隔離し、2~10日間とされる潜伏期間の2倍の期間が経過したにもかかわらず、新たにSARSの患者が出なかったことによる。

また、MERSの韓国国内での感染拡大について、韓国政府は2015年12月24日をもって終息宣言を発表した。これも、2~14日間とされる潜伏期間の2倍の期間が経過しても、ウイルス患者が出てこなかったことによるとされる。なお、中東地域では、MERSはまだ終息していない。

今回の新型コロナウイルスでは、WHOは潜伏期間を1~14日と見積もっている(WHOのサイトのQ&Aより/2020.3.9)。この潜伏期間を前提として、SARSやMERSと同じ基準によれば、28日間、新たなウイルス患者が出ないことが終息宣言の条件になると考えられる。

新型コロナウイルスについては、現段階では小康状態や終息は見通せていない。そこで、政府や自治体は、引き続き、さまざまな拡大防止策を進めていくものと考えられる。

一般市民の側でも、一人ひとりが手洗いなどの予防策を取る、集団感染を避ける(換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、間近で会話や発声をする密接場面、の3つの「密」を避ける)など、感染を小康状態や終息につなげるよう努力する必要があると思われるが、いかがだろうか。

Nissei_Shinohara.jpg[執筆者]
篠原 拓也 (しのはら たくや)
ニッセイ基礎研究所
保険研究部 主席研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

デンマーク、3月24日に総選挙実施 グリーンランド

ワールド

米副大統領「物価高は民主党の責任」、激戦州ウィスコ

ワールド

米ホワイトハウス宴会場建設、地裁が差し止め請求退け

ワールド

米、対中国「恒久的最恵国待遇」取り消しの影響調査へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルーの大スキャンダルを招いた「女王の寵愛」とは
  • 4
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 5
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 6
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 7
    「まるで別人...」ジョニー・デップの激変ぶりにネッ…
  • 8
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 9
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 10
    「3列目なのにガガ様が見えない...」観客の視界を遮…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 5
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中