最新記事

コロナショック

コロナ医療スタッフにあなたは「ありがとう」or「近寄るな」 パンデミックが暴く人間性

2020年4月24日(金)12時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

英王室ルイ王子も虹の絵で励ます

死者や感染者の人数が世界上位となってしまった欧米では、朝出勤する看護師のために近所の人が家の前で拍手をするなどのサプライズをしたり、ベランダでの演奏会や歌声を披露するなど、心温まるエピソードがSNSを通じ伝えられている。

毎日医療従事者らが勤務を交代する午後7〜8時(ニューヨークでは7時、パリなどヨーロッパでは8時に行われることが多い)に、家の窓やベランダから「clap for carers」と呼ばれる拍手を送るのは、もう日本でも報道を通じ知っている人も多いだろう。

そんな欧米では、子供たちも大人を励まそうと奮闘している。イギリスでは外出自粛中でも仕事に向かわなくてはならない人びとを少しでも明るい気持ちにしようと、子供たちが描いた虹の絵を道路側の窓に貼りだした。

これがSNSなどでどんどん広まり、英王室でもウイリアム王子夫妻の二男ルイ王子が自身の手を虹色に染めた写真を公開。ニューヨークでもブルックリン地区を中心に虹や花などかわいい絵が窓を彩るようになった。

このように、良いアイデアは新型コロナウイルスよりもさらに速く一瞬にして世界中に広まり、世界各地で実施される時代だ。

他にも、スーパーの開店後1時間は、体の不自由な方や高齢者、医療関係者用に指定する店のアイディアが ヨーロッパで開始され話題になると、その後すぐにアメリカでも始まった。

ひと昔と違って、人びとはいいと思った事例についてすぐに拡散することで、取り入れられやすくなっている。人びとはウイルスとの戦いに勝つために知恵を積極的に共有しあうべきである。

アメリカではアジア人ヘイトが

しかし、悲しいことに欧米でのアジア人ヘイトはいまだに多い。アメリカ在住の筆者も今はスーパーへの買い出しも一人では行かないようにしているほどだ。暴言、暴行などのニュースを見るたびに同じアジア人として心が痛む。

そんな状況を見かねて、素早い対応を見せたのが、人種のるつぼといわれるニューヨークである。ニューヨーク市人権委員会は、今月19日新たに特別チームを設置したと発表した。このチームには捜査チームの他に、弁護士チームと広報チームで構成されているという。

カーメリン・マラリス委員長は「人権侵害は絶対に許されない。」とし、人権侵害された場合は、可能ならば写真や動画などを撮ることを推奨しながら「ぜひ通報して欲しい。我々が捕まえてみせる」と力強く語っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中