最新記事

野生動物

ウミガメがプラスチックを食べてしまうのは匂いが好きだから

Sea Turtles Like the Smell of Plastic in the Ocean so Much They Eat It

2020年3月10日(火)17時33分
ロージー・マコール

「こうした小さな微生物は、いったん成長すると、海苔の香り成分であるジメチルスルフィド(DMS)を発生する。その匂いが、ウミガメにとっては食べ物のように感じられるのだ。過去の研究から、ウミガメがジメチルスルフィドを感知できることと、それをエサ探しの手がかりにしていることがわかっている」

これまでは、大量のプラスチックがウミガメなど海洋動物の消化器官にたどり着いてしまうのは、動物たちがプラスチックの見た目を食べ物と勘違いするからだと思われてきた。たとえばビニール袋は、クラゲに見える可能性がある。今回の研究は、そこに匂いという新たな可能性を加えるものだ。

次は水を伝う匂いを研究

論文著者たちの指摘によれば、絶滅危惧種のウミガメやクジラを含む700種近い海洋動物が、ごみのかけらを体内に摂り込むなどプラスチックごみの脅威にさらされている。

「わずか0.5グラムのプラスチックだけで、ウミガメの子どもは死に至る。ごく微量のプラスチックでも、命にかかわるほど危険だ」とマロスは語る。

今回の研究では、空気を伝わる匂いについて考察されたが、チームは今後、水を介してプラスチックから伝わる匂いについて研究していきたいと考えている。水中を伝わる匂いによって、ウミガメの脅威はさらに高まる可能性がある。

「これをきっかけにできれば、海岸にペットボトルを置いて行こうとしたときにこのことを思い出してほしい。あるいは、使い捨てのボトルを買う代わりに水筒を持参しようという気を起こしてほしい」と、ノースカロライナ大学のゴーフォースは語った。

(翻訳:ガリレオ)

20200317issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症VS人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

不明兵捜索、時間との戦い イランの猛攻耐えた米軍救

ワールド

トランプ氏、イランに合意期限「6日」 米戦闘機乗員

ワールド

米、イランで不明の戦闘機乗員救出 トランプ氏「史上

ワールド

イラク南部の巨大油田に攻撃、3人負傷 イラン国境に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 2
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 3
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「攻撃的知能」を解剖する
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 7
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 8
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 9
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 10
    イタリアに安定をもたらしたメローニが国民投票で敗…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 7
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 8
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 9
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中