最新記事

ドイツ

いよいよドイツもパニックか 買い占めにアジア人差別 日本人も被害に

2020年3月4日(水)18時30分
モーゲンスタン陽子

武漢から帰国したドイツ人を隔離している......(2月) Annegret Hilse-REUTERS

<ドイツでもトイレットペーパーの品薄・品切れ状態が続いている。また、感染拡大に伴い、日本人を含めたアジア人差別も、残念ながら一気にタガが外れた感じだ......>

新型肺炎に関しては比較的落ち着いた様子だったドイツも、この1週間で一気に様変わりした。ドイツ人にも人気の観光地、スペイン領のテネリフェ島のホテルで感染者が見つかり約1000人が隔離されたが、その約4分の1はドイツ人だ。ドイツ人の大好きなイタリアでも感染者が瞬く間に膨れ上がり、また本国でも先週、これまで感染者のいなかった複数の都市で新たな感染者が見つかった。

感染が全国規模で広がった今、各地の薬局やスーパーマーケットで買い占めが発生。オンラインも含めて、マスクや消毒液、保存食やトイレットペーパーの品薄・品切れ状態が続いている。また、感染拡大に伴い、日本人を含めたアジア人差別も、残念ながら一気にタガが外れた感じだ。

ドイツでは買いだめのことを「ハムスター買い」という

ドイツでは買いだめ・買い占めのことをHamsterkauf「ハムスター買い」という。食料を溜め込む習性のあるハムスターを動詞にしたhamstern から派生した語だ。日祝日は店の閉まるドイツでは、暦によっては3日も買い物できないため直前にちょっとした買い占めが起こるが、先週末の混雑ぶりはクリスマス前を上回っていた。


ドイツでは実は、緊急時に必要なストックの政府推奨リストがある。2016年に「民間防衛の概念(KZV)」がNATOの防衛目標に基づいて冷戦以来初めてアップデートされ、緊急時に自宅に2週間こもるのに必要な物資が挙げられている。

今回の新型コロナに関してはまだ政府による買い出し推奨はされていないが、新聞などで10日ほど生活するための物資のリストが紹介されている

それによると、やはりパスタや缶詰・瓶詰などの保存食が多い。ラスクや乾パン、またドイツ人がふだん良く食べる塩焼きプレッツェル菓子などもある。近所のスーパーをのぞいてみると、要冷蔵の新鮮な牛乳は残っていたが、常温保存のきく牛乳の棚はからっぽになっていた。おそらくそれでも足りなかったのだろう、普段はあまり人気のない常温保存の豆乳までもなくなっていた。印象的だったのは、いつもなら週末の夕方に値下がる前には売り切れることのない切花が早い時間に売り切れていたことだ。どうせ家にこもるなら少しでも気持ち良く、ということだろうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税

ワールド

ルビオ氏「日米関係は非常に強固」、石破首相発言への

ワールド

エア・インディア墜落、燃料制御スイッチが「オフ」に

ワールド

アングル:シリア医療体制、制裁解除後も荒廃 150
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 6
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 7
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 10
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中