最新記事

感染症

中国が新型コロナウイルスに敗北する恐怖

How to Tell What’s Really Happening With the Wuhan Virus

2020年1月27日(月)19時25分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌シニアエディター)

死者はこれまでのところ、全員ではないにしてもほとんどが高齢者で、ほとんどが持病を持っていた。中国以外での発症数が比較的少ないことから世界保健機関(WHO)は「国際的な緊急事態」にはあたらないとの立場を取った。だが、この先は分からない。

重体の患者も多いし、ウイルスはすでに人から人へ感染するような変異を遂げており、今後もさらに進化する可能性がある。「スーパースプレッダー」(通常とは比べものにならないほど多くの人に感染を広げてしまう人)も少なくとも1人、武漢の病院で確認されている。

また、外国でも多くの感染例が見つかっているのは、患者の多くが比較的裕福で医療を受ける余裕があるという要因も大きい。

新型コロナウイルスの肺炎患者はワシントンからマレーシアまで世界のあらゆるところで確認されている。潜伏期間はだいたい7~12日間と比較的長いため、感染者は症状が出ないままウイルスをまき散らす。ウイルスが地球上のどこまで広がってしまったのかもはや分からないくらいだ。

その上、症状はさまざまで、発熱といった最も特徴的な症状さえない人もいる。今後、世界では繰り返し流行が起きることになるかも知れない。特に貧しく弱い国々にウイルスが広がった場合にはそうなるだろうと、ジャーナリストのローリー・ギャレットは指摘している。これまでのところ、発生は韓国やフランス、アメリカと言った先進国に限られているが、気づかれていないだけで他の場所に広がっている可能性は大いにある。

中国政府の公表数字は信じられる?

ノーだ。理由はいくつかある。1つ目は、中国は政治的な理由から、災害等の被害に関する数字を隠ぺいしてきた過去があるからだ。SARS発生当初もそうだったし、洪水や地滑り、工場の爆発といった比較的しょっちゅう起こるタイプの災害でも、犠牲者の数を少なく発表するのはいつものことだ。

今回のケースで言えば、人から人に感染するウイルスへの変異が大いに考えられるわけだが、急に患者数が増えたのは、地元経済への悪影響や、1月中旬に各地で行われた地方レベルの「両会」(人民代表大会と政治協商会議)に水を差すことを恐れた地元当局が隠ぺいしていたからだ。患者数は何週間も41人とされていたが、外国での感染例が明らかになるや隠しきれないと思ったのか200人以上にふくれ上がった。ところが封鎖されるまで、武漢の当局者は多くの人が集まるイベントを予定していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インド、対EU貿易協定は月内にまとまる見込み=商工

ワールド

EU、ロシア産原油の上限価格引き下げ 2月1日から

ワールド

原油先物横ばい、イラン情勢巡る懸念緩和

ビジネス

焦点:グロックの性的画像無断生成、欧州はどこまで規
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑について野次られ「中指を立てる」!
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    イランの体制転換は秒読み? イラン国民が「打倒ハ…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    年始早々軍事介入を行ったトランプ...強硬な外交で支…
  • 8
    母親「やり直しが必要かも」...「予想外の姿」で生ま…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 9
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中