高齢世帯の貯蓄額を、平均値で見てはいけない理由
2019年11月27日(水)17時10分
よく言われることだが、データの代表値としては平均値よりも中央値が望ましい。分布の型が歪(いびつ)である場合、両者の乖離は大きくなる。<表2>は、各年代の所得・貯蓄の平均値と中央値を対比したものだ。
筆者の年代の40代に注目すると、世帯所得の平均値は約671万円、中央値は約621万円となっている。50万円の開きだ。貯蓄をみると平均値が652万円、中央値が344万円と隔たりが大きい。元の度数分布表をみると分かるが、貯め込んでいる世帯とそうでない世帯に割れているからだ。
貯蓄格差が大きい高齢層では、平均値と中央値の乖離が大きくなっている。倍以上の差だ。むろん、「普通」を的確に表しているのは後者だ。相対的貧困率の定義が「所得が中央値の半分に満たない世帯の割合」という点も思い出そう。砕いて言うと、収入が普通の半分に満たない世帯の率、ということだ。
官庁統計には平均値が出ていることが多いが、その背後にある分布に思いをめぐらさないといけない。できれば、それに当たることが望ましい。最頻値や中央値という観点で見ると、統計データからまったく違った事態が見えてくることがしばしばある。
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