200万年前の氷が採取されて2年、地球の気候変動に関わる分析が発表された
200万年前の地球環境のタイムカプセル...... Oregon State University
<これまでで最古の氷床コアが採取されたという発表から2年を経て、その分析が発表された......>
南極大陸東部で採取された200万年前の氷を分析したところ、古代において大気中の温暖効果ガス濃度と気象に関連があったとみられることがわかった。今後の気候変動に関する研究に役立つ成果として注目されている。
地球では、この100万年にわたって、寒冷な氷期と温暖な間氷期が10万年の周期で繰り返されてきたが、280万年前から120万年前は、その周期が4万年と短く、氷期も極端なものではなかったとみられている。
氷床や氷河を掘削してくりぬいた氷の試料、すなわち「氷床コア」は、気温や大気の成分などを推定できることから古気候学の研究で用いられている。今回、これまでで最古の氷床コアが採取されたという発表から2年を経て、その分析が発表された。
200万年前の氷床コア......
2007年に発表された研究プロジェクトでは、80万年前の氷床コアに閉じ込められた気泡中の二酸化炭素濃度と気温を分析し、「氷期と間氷期の周期を沿って気温が変化すると、これと並行して大気中の二酸化炭素濃度が変動する」ことを明らかにしている。
米プリンストン大学らの共同研究チームは、これよりも古い200万年前の氷床コアの二酸化炭素およびメタンの濃度と気温を分析し、2019年10月30日、その研究結果をまとめた論文を学術雑誌「ネイチャー」で公開した。研究結果によると、200万年前の間氷期の二酸化炭素濃度は、80万年前と同様に最高値にまで上昇した一方、氷期の二酸化炭素濃度は、80万年前ほど下がらなかった。
地球の軌道の変化が氷河期の中で氷期と間氷期の発生に影響を及ぼすことには有力な証拠があり、また、100万年前から200万年前の地球の気温と二酸化炭素濃度の関連はこれまで曖昧であったが、今回の分析で多くのことが明らかになった。
研究論文の共同著者である米オレゴン州立大学のエドワード・ブルック教授は「200万年前において二酸化炭素が気温と関係していることを示したことは、この研究において最も重要な成果のひとつだ。気候科学を理解し、将来の変化を予測するモデルを調整するうえで重要な基準となるだろう」と述べている。
さらに古い氷床コアを採取する
なお、この研究で用いられた氷床コアは、2015年から2016年のシーズンに、アメリカ南極探検隊の観測基地「マクマード基地」から約130マイル (約209キロメートル)地点で地下200メートルまで掘削して採取したものだ。
ブルック教授は「このエリアにどのくらいまで古いものが残されているのかは不明だ。200万年以上前のものがあるかもしれない」とし、再度、このエリアでの氷床コアの採取を行う方針を明らかにしている。