最新記事

感染症

台風の後、犬を外に出すのは少し待ったほうがいいかもしれない、その理由は?

2019年10月21日(月)16時45分
秋山文野

7月10日のガーディアン紙記事によれば、シドニーでは48時間で7匹のペットの犬が死亡し、シドニー大学によればこのうち6匹はレプトスピラ症によるものと確認された。ニューサウスウェールズ州でこれほど急激なレプトスピラ症が報告されたことはこれまでになかったといい、シドニー大学の獣医師は「ゼロが一気に100になったようなもの」とその急激さに驚くコメントをしている。

急激な感染拡大の背景に、シドニーの中心街で過去2年ほど大規模な建築工事が続いており、解体作業に伴ってネズミが広がった事情があるのではないかと疑われている。2019年7月、シドニー市長は市内に仕掛けられたネズミ捕獲ステーションの数を既存の430個から倍増させると発表した

濡れた土壌や水たまり、川などには近づけない

台風による環境の急変の後、犬をレプトスピラ症から遠ざけるための対策が必要ではないだろうか。日本では、2017年に大阪府でレプトスピラ症が疑われる症状で11匹の犬の感染報告があり、うち8匹は、同じ河川敷での感染が疑われている。川の水位の記録では、河川敷が浸水したということは確認できていないが、人が台風後にレプトスピラ症の感染に気をつけなくてはならないのと同じように、犬を守りたい。

レプトスピラ症は関西や九州、沖縄での報告が多いが、東海や関東でも報告例はある。シドニーのように、これまでなかったところに急激に感染が見つかるという可能性があるだろう。浸水被害で下水や汚泥など汚染された泥が市街地に出てきたり、下水などに住み着いていたネズミが表に出てくる可能性もある。

犬にとってハイリスクの行動は、湿地や水たまりで遊んだり水を飲んだりすること、また野ネズミとの接触がある。日頃からできる対策としては、レプトスピラ感染症を防ぐ混合ワクチンがあるが、250以上もの血清型を持つレプトスピラ菌の場合、接種したワクチンでは対応できないことがある。台風後で環境が激変していることを考え、今はまだ「犬をしまって」濡れた土壌や水たまり、川などには近づけない対策が当面必要だろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

焦点:雪解けは本物か、手綱握りなおす中国とロシア向

ワールド

米、イラン新指導者モジタバ師ら巡る情報提供に最大1

ワールド

トランプ氏、イラン濃縮ウランのロシア移送案拒否 プ

ビジネス

米国株式市場=続落、ダウ約120ドル安 原油高でイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントに…
  • 7
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 8
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 9
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 10
    謎すぎる...戦争嫌いのMAGAがなぜイラン攻撃を支持す…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中