最新記事

アフガニスタン

タリバン「米国でさらに命が失われる」 トランプの和平協議中止受けて声明

2019年9月9日(月)14時05分

アフガニスタンの反政府勢力タリバンは、トランプ米大統領(写真)がタリバンの有力指導者と同国のガニ大統領をワシントン郊外に招いて行う予定だった秘密会談を中止したことを受けて声明を出し、「米国でさらに命が失われることになる」と警告した。写真はワシントンで4日撮影(2019年 ロイター/Erin Scott)

アフガニスタンの反政府勢力タリバンは8日、トランプ米大統領がタリバンの有力指導者と同国のガニ大統領をワシントン郊外に招いて行う予定だった秘密会談を中止したことを受けて声明を出し、「米国でさらに命が失われることになる」と警告した。

トランプ氏は大統領山荘キャンプデービッドで8日に秘密会談を行う予定だったが、アフガニスタンの首都カブールで米兵らが犠牲となった自爆テロを受け、7日に急きょ取りやめたと表明。

タリバンの報道官はトランプ氏が対話を打ち切ったことを批判し、「この結果、米国でさらに命が失われることになる」と警告。「米国の信頼性が影響を受け、反和平の姿勢が世界に暴露され、人命や資産の喪失が増えることになる」とした。

ポンペオ米国務長官は米テレビ番組のインタビューで、タリバンと和平協議を続けてきたハリルザド・アフガン和平担当特別代表を米国に呼び戻したと明らかにした。FOXニュースでアフガン和平協議はなくなったのかとの問いに「当面はそうだ」と答えた。

タリバンが意義ある合意を履行するとの確信を得られるまでは、アフガン駐留米軍を削減することはないとも語った。

ハリルザド氏は前週、135日以内に約5000人のアフガン駐留米軍を撤退させ、5カ所の基地を閉鎖することでタリバン側と暫定合意したと明らかにしていた。

ポンペオ氏は米ABCの番組で、協議決裂で1万4000人のアフガン駐留米軍の撤退計画も保留になるかとの質問に、「大統領はまだ決断を下していない」と答えた。

ポンペオ氏によると、トランプ氏は和平協議が「明確に進展」したことを受け、自身が関与する形で最終合意をとりまとめるためにキャンプデービッドでの秘密会談を決めたという。

アフガン大統領府は8日、トランプ大統領が同会談を中止したことに関し、真のアフガン和平はタリバンがまず暴力行為をやめ、アフガン政府と直接対話に乗り出した場合のみ実現可能だと主張した。

大統領府は声明で「真の和平はタリバンが停戦に合意した時に訪れる」と述べた。

[カブール/ワシントン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

2024071623issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年7月16日/23日号(7月9日発売)は「まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50」特集。万引大国アメリカ、月にクマムシ、ウクライナでワインツーリズム、欧州アフリカ海底鉄道…… PLUS クイズ50

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン大統領、英新首相と10日に会談=ホワイトハ

ワールド

イラン次期大統領、反イスラエル確認 抵抗運動「犯罪

ワールド

再送-ハンガリー首相、ウクライナ戦争の調停者になれ

ワールド

イスラエル首相支持へ、連立政権から極右離脱なら=最
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50
特集:まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50
2024年7月16日/2024年7月23日号(7/ 9発売)

日本の報道が伝えない世界の仰天事実。世界の今が見えるニュースクイズ50

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 2
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間
  • 3
    ドネツク州でロシア戦闘車列への大規模攻撃...対戦車砲とドローンの「精密爆撃」で次々に「撃破」する瞬間
  • 4
    ルイ王子の「お行儀の悪さ」の原因は「砂糖」だった.…
  • 5
    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…
  • 6
    日本人学校バス襲撃 死亡した中国人女性を「美談」…
  • 7
    「こうした映像は史上初」 火炎放射器を搭載したウク…
  • 8
    夜の海に燃え上がるロシア大型揚陸艦...ウクライナ無…
  • 9
    スタートアップ経営者が感じる「退職代行」のやるせ…
  • 10
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 1
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 2
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 3
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカードの「基本概念」を根本的にひっくり返す悪手だ
  • 4
    ルイ王子の「お行儀の悪さ」の原因は「砂糖」だった.…
  • 5
    黒海艦隊撃破の拠点になったズミイヌイ島(スネーク…
  • 6
    H3ロケット3号機打ち上げ成功、「だいち4号」にかか…
  • 7
    キャサリン妃も着用したティアラをソフィー妃も...「…
  • 8
    ドネツク州でロシア戦闘車列への大規模攻撃...対戦車…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 3
    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア
  • 4
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」…
  • 5
    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 6
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 7
    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…
  • 8
    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…
  • 9
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地.…
  • 10
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中