最新記事

トランプ

トランプの独裁者贔屓は要警戒レベル

Trump’s Dictator Envy Isn’t Funny Anymore

2019年7月1日(月)19時30分
フレッド・カプラン

そして、トランプとプーチンの仲睦まじい首脳会談だ。ニューヨーク・タイムズ紙は、記者がトランプに、アメリカの選挙に干渉するのをやめるようプーチンに言うつもりか、と聞いた時のトランプの反応をこう伝えている。

「トランプはプーチンのほうに顔を向け、にやりとしてからわざと真剣そうな声で、『選挙に介入しないで下さい、大統領』と言った」

ロシアが2016年の米大統領選挙に介入したという点については、米情報機関の調査結果もロバート・ムラー司法相特別検察官の報告書も同様に認めている。この件について問われたトランプ政権の高官や共和党の政治家のほとんどが、同じく介入はあったと言っている。それなのに、ロシアの介入で利益を得た当人が、これをジョークとして一蹴してしまったのだ。

ブルームバーグ・ニュースのジェニファー・ジェイコブズ記者は、トランプとプーチンがメディア蔑視で意気投合している会話を耳にした。「連中をつまみ出せ」とトランプは言い、「フェイクニュースっていうのはすばらしい用語だろう? ロシアにはこんな問題はないが、アメリカにはある」と付け加えた。これに対しプーチンは英語で「ロシアにもある。同じだ」と答えたという。

イバンカ、首脳気取りでひんしゅくを買う

プーチンが政権を握って以降、ロシアでは何十人ものジャーナリストが――多くはロシア政府の命令で――殺害された。一方のトランプはと言えば、西側世界のリーダーという立場にあり、報道の自由など西側にとって重要な価値の擁護者とされている。そんな2人が個人的にとは言え「フェイクニュースっていうのはすばらしい用語だろう?」などと皮肉を共有したのだ。

トランプが専制主義に傾いている兆候は他にも見られた。すべてのハイレベル協議の場に娘のイバンカと娘婿のジャレッド・クシュナーがいたのだ。2人ともホワイトハウスのいかなる職種のインターン資格も認められないだろうに、それぞれ大統領補佐官と上級顧問として働いている。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領やイギリスのテリーザ・メイ首相、カナダのジャスティン・トゥルドー首相、IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事との会話に加わろうとしているイバンカの姿を捉えた動画がある。特にラガルドは、この下っ端を部屋に入れたのは誰?と言わんばかりの嫌悪感丸出しの表情だ。

イバンカは首脳同士の会話に割って入ろうとして「国家的恥さらし」と批判された
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上

ワールド

ガザ支援搬入認めるようイスラエル首相に要請=トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中