米中摩擦のアメリカ農家に光明? 大麻の原料ヘンプは救世主か
高価な種子、手作業での収穫
カンザス州農務省はこの春、農家に栽培許可を発行し始めた。ヘンプの栽培が同州で認められたのは、この数十年で初めてだ。
カンザス州立大の専門家ジェイソン・グリフィン氏はヘンプの可能性に懐疑的で、それを「ゴールド・ラッシュ」と表現する説明を聞くと肩をすくめる。
変化する規制への対応以外にも、種子が高価であることが、ヘンプ栽培に乗り出す農家の障害になる。
すでに持っている機材を応用できた農家もあるが、ヘンプ栽培用の特殊な機材が新たに必要になる可能性もある。
ヘンプの花は、一般的に手作業で収穫される。その一方で、繊維用のヘンプは畑で栽培し、機械で収穫して貯蔵する前に畑で乾燥させなければならない。
また、他の換金作物と異なり、ヘンプを買い取るブローカーはわずかしかおらず、農家は特にバイヤーに依存した状態になる。
「地元の穀物倉庫に行って、現在のヘンプ買取価格はいくらか聞くというような訳にはいかない」と、前出のレガシー・ヘンプのアンダーソン氏は言う。
ヘンプ価格には幅があるため、同氏は農家に対し、バイヤーと契約するまで作付けをしないよう助言しているという。レガシー・ヘンプでは、作付け時期が始まる前に農家との間で契約書を交わしているという。
長期的な見通しを懸念する農家もいる。
モンタナ州の小麦農家ネイサン・キーン氏は、CBD精油のためにヘンプの雌株を栽培している。まず温室で苗を育て、その後1株ずつ手作業で移植している。
「CBDはバブルになると正直思っている」と、キーン氏。「波には乗るが、本当は、ヘンプの種子と繊維の方が長期的に根付くことを願っている」
Julie Ingwersen and David Randall
(翻訳:山口香子、翻訳:下郡美紀)
2024年12月3日号(11月26日発売)は「老けない食べ方の科学」特集。脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす最新の食事法。[PLUS]和田秀樹医師に聞く最強の食べ方
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら