最新記事

アメリカ社会

米中摩擦のアメリカ農家に光明? 大麻の原料ヘンプは救世主か

2019年6月25日(火)10時00分

高価な種子、手作業での収穫

カンザス州農務省はこの春、農家に栽培許可を発行し始めた。ヘンプの栽培が同州で認められたのは、この数十年で初めてだ。

カンザス州立大の専門家ジェイソン・グリフィン氏はヘンプの可能性に懐疑的で、それを「ゴールド・ラッシュ」と表現する説明を聞くと肩をすくめる。

変化する規制への対応以外にも、種子が高価であることが、ヘンプ栽培に乗り出す農家の障害になる。

すでに持っている機材を応用できた農家もあるが、ヘンプ栽培用の特殊な機材が新たに必要になる可能性もある。

ヘンプの花は、一般的に手作業で収穫される。その一方で、繊維用のヘンプは畑で栽培し、機械で収穫して貯蔵する前に畑で乾燥させなければならない。

また、他の換金作物と異なり、ヘンプを買い取るブローカーはわずかしかおらず、農家は特にバイヤーに依存した状態になる。

「地元の穀物倉庫に行って、現在のヘンプ買取価格はいくらか聞くというような訳にはいかない」と、前出のレガシー・ヘンプのアンダーソン氏は言う。

ヘンプ価格には幅があるため、同氏は農家に対し、バイヤーと契約するまで作付けをしないよう助言しているという。レガシー・ヘンプでは、作付け時期が始まる前に農家との間で契約書を交わしているという。

長期的な見通しを懸念する農家もいる。

モンタナ州の小麦農家ネイサン・キーン氏は、CBD精油のためにヘンプの雌株を栽培している。まず温室で苗を育て、その後1株ずつ手作業で移植している。

「CBDはバブルになると正直思っている」と、キーン氏。「波には乗るが、本当は、ヘンプの種子と繊維の方が長期的に根付くことを願っている」

Julie Ingwersen and David Randall
(翻訳:山口香子、翻訳:下郡美紀)

[ヘイズビル(米カンザス州) 14日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:戦時下でも「物流を止めるな」 ウクライナ

ワールド

メキシコ南部でM6.5の地震、首都でも揺れ 大統領

ワールド

再送ウクライナ北東部ハルキウの集合住宅に攻撃、2人

ビジネス

米国株式市場=5営業ぶり反発、ダウ319ドル高 半
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 4
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 5
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 6
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中