比ドゥテルテ、産廃ゴミ回収の約束守らぬカナダに激怒? 大使と領事に帰国命令
カナダ政府当局にゴミ回収を求めるフィリピンの環境団体 (c) ABS-CBN News / YouTube
<先進国の産業廃棄物やプラスチックゴミが東南アジア各国へ偽装輸出される問題が続くなか、フィリピンのドゥテルテ大統領はカナダから違法輸出されたゴミの回収に強硬姿勢を見せたが──>
フィリピン外務省は16日、前日の15日付けでカナダ駐在のフィリピン大使、領事らを本国に戻るよう「召還」する命令を発したことを明らかにした。
テオロド・ロクシン外相が16日午前にツイッターで明らかにしたもので地元紙「フィリピンスター(電子版)」やネットメディアの「ラップラ--」などが一斉に伝えた。
ツイッターでロクシン外相は「15日の午後12時の深夜(16日午前零時)にカナダ大使と領事にカナダから退去するように通告した。彼らは一両日中にフィリピンに戻ってくる」とツイートした。
外務省によると、カナダから2013〜14年にかけてフィリピンに輸出された貨物コンテナの中に再生不可能な産業廃棄物や単なる家庭ゴミ、電化製品、ビニール袋などのプラスチックゴミが大量に含まれていたことから、カナダ政府に繰り返しコンテナの回収を要請していた。
カナダ政府は交渉の結果、5月1日までに69個に及ぶゴミのコンテナを回収することで基本合意し、フィリピン政府は回収期限を5月15日に設定、通告していた。
ところが15日の期限になってもカナダ側がコンテナの回収に乗り出さなかったことから、大使・領事の召還という厳しい対応に踏み切ったという。
ロクシン外相によると大使、領事以外の外交官は依然としてカナダの在外公館で通常業務に当たっており「外交団は縮小するが外交関係は依然として維持している」と説明している。
カナダ国内には約90万人の出稼ぎフィリピン人がメイドや労働者として働いており、彼らの支援には今回の外交関係縮小措置は影響を及ぼさないとの考えを示した。
ドゥテルテ「宣戦布告」が交渉促進
カナダからのゴミ輸出にはドゥテルテ大統領が厳しい対応を示し、4月23日に早急な対応を関係当局とカナダ政府に要求した。その中でドゥテルテ大統領は「1週間以内にカナダに送り返す」「引き取らないというなら戦争だ」などと"宣戦布告"する事態にまで発展していた。
カナダ政府は当初「民間業者が違法に輸出したものであるが、回収・返送を民間業者に要求する権限は政府にはない」と、冷めた対応に終始していた。
ところがフィリピン国内で「フィリピンはカナダのゴミ捨て場ではない」などと反カナダデモが起きるなど事態が深刻化し、そこへドゥテルテ大統領の"宣戦布告"発言もあり、カナダ政府が本格的に交渉に乗り出し、回収に基本合意。5月1日にロクシン外相は「5月15日までに送還されることになる」と明らかにして、事態の進展を報告するとともに実際の回収着手を見守ってきた。