最新記事

ドキュメンタリー

「地球は平面」と主張する人々が、丸い地球に出会ったら

Flat Earthers Disprove Themselves With Own Experiments in Netflix Documentary

2019年5月15日(水)21時00分
アンドリュー・ウェーレ

「実際に測定してみたところ、ジャイロスコープは傾きを検知した。1時間で15度傾いた」と、クネーゲルは言う。これはまさに、地球が自転している証拠そのものだ。

「この結果に、まったく面食らった。俺たちにとっては大問題だ」と、クネーゲルは言う。「こんな結果をあっさり受け入れることはできない。だから、この実験が実際の地球の動きを反映していないことを証明する方法を探すことにした」

望みの結果を得るために、クネーデルは何度か実験方法を変えたが、ジャイロスコープは一貫して地球が丸いことを証明し続けている。それでも、デンバーで開催された地球平面説の集会に参加したときの様子から見ると、クネーデルの考えは変わっていないようだ。

「俺たちはなんとかは成功させたいんだ。このジャイロは2万ドルもしたんだよ。今までの発見をドブに捨てるなんて、そんなの最悪だ」と、彼は集会の参加者に言った。

しかし、地球の自転を否定する実験で最もドラマチックな結果を出したのは、クネーデルとともにユーチューブでホストを務めるジェラン・カンパネルラだった。

光の実験でも逆の結果に

「心の底では、誰もが地球は平面であることを知っていると思う」と、カンパネルラは2017年にノースカロライナ州で行われた地球平面説の国際会議の講演で語った。

カンパネルラは、3本のポールと強力なレーザーを使った実験を考案した。約6キロの範囲に同じ高さの3本のポールを立てる。ポールに向けてレーザーを当て、ポールとビームが交差した部分の高さを測り、それが3本とも同じ高さであれば、地球は平らだということになる。

flat-earth-1.jpg
DELTA-V PRODUCTIONS


最初の実験では、レーザー光が距離とともに広がってしまい、正確な測定ができなかった。だがドキュメンタリーの終盤で、カンパネルラが思いついた別の実験の模様が紹介される。今度はレーザーの代わりに光を使う。

2枚の発砲スチロールの板を立て、それぞれ同じ高さに穴をあける。1枚目の穴を通した光が、そのまま2枚目の穴を抜け、その先のカメラに写れば、地上が平面であることを実証できるはずだ。

flat-earth-2.jpg
DELTA-V PRODUCTIONS


だが1回目、カメラに光は写らない。「ライトを持ち上げて。思いっきり頭より高く」と、カンパネルラは声をかけ始めた。助手がライトを高く持ち上げていくと、光はようやくカメラに写った。地球は平面ではなく、丸い証拠だ。「面白い」と、カンパネルラは言う。「これは面白い」ここでドキュメンタリーは終わる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中