最新記事

動物

巨大なホホジロザメが一匹残らず逃げる相手は

Great White Sharks Are Terrified Of Orca, Study Reveals

2019年4月18日(木)17時00分
ハナ・オズボーン

「一般に我々は、大型の捕食者が狩りをする場所を決める際に、恐怖や危険がどのような影響を及ぼすのか、それが海の生態系にどのような影響を及ぼしているのか、といったことについては考えない」と、ヨルゲンセンは言う。「だが恐怖や危険は、ホホジロザメのような大型の捕食者にとっても、きわめて大きいということが分かった。さほど恵まれなくてもより安全な場所に狩り場を移すほど大きな影響だ」

シャチがサメを殺してその肝臓を食べることは、ここ数年知られるようになった。南アフリカのフォールス湾で、「肝臓だけを食べる特殊な食べ方」によって殺された、複数のエビスザメの死骸が発見されている。2017年には、同海岸のもう少し北で、2頭のシャチが5匹のホホジロザメを殺した疑いのある例もあったという。

アンダーソンとヨルゲンセンは、ファラロン湾のシャチがホホジロザメを狙い、殺していたかどうかはわからないという。シャチがホホジロザメを捕食した例は過去に1度あっただけだ。むしろシャチは、ゾウアザラシを独占できるよう、サメを脅して同保護区から追い出してきた可能性がある。

「高カロリーなホホジロザメの肝臓をたまに食べることは、シャチにとってエネルギー補給の助けになっている可能性がある」と研究報告は指摘する。「死につながる可能性のあるシャチとの遭遇が、ホホジロザメにとって大きなリスクであることは明白だ」

さらに報告書はこう結論づけている。「今後の研究では、シャチの脅威がホホジロザメとゾウアザラシの個体数に及ぼす影響と、その生態学上の意味合い焦点を当てるべき」

(翻訳:森美歩)

20190423cover-200.jpg

※4月23日号(4月16日発売)は「世界を変えるブロックチェーン起業」特集。難民用デジタルID、分散型送電網、物流管理、医療情報シェア......「分散型台帳」というテクノロジーを使い、世界を救おうとする各国の社会起業家たち。本誌が世界の専門家と選んだ「ブロックチェーン大賞」(Blockchain Impact Awards 2019)受賞の新興企業7社も誌面で紹介する。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:データセンター対応で化石燃料使用急増の恐

ワールド

COP29、会期延長 途上国支援案で合意できず

ビジネス

米債務持続性、金融安定への最大リスク インフレ懸念

ビジネス

米国株式市場=続伸、堅調な経済指標受け ギャップが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 9
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中