最新記事

ブログ

「色んな人が、自分が描きたい沖縄像を言っているだけなんじゃないか」

2019年2月19日(火)18時40分
岡原功祐 ※Pen Onlineより転載

Newsweek Japan

<そう、石戸諭さんは言った。いつもパッケージ化されてしまう「沖縄」を解体する「ラプソディ」の試み>

本日発売のニューズウィーク日本版の沖縄特集の写真を担当しています。

ちなみに表紙写真は、米海兵隊キャンプ・シュワブ沿岸(要は目の前)の辺野古の海で、今回の取材より前、自分のプロジェクトのために撮影した海中写真です。(撮影してたら、「鮫が見えたから気をつけて!」と言われてビビって船に上がった僕...。まだまだ修行が足りません...。100mとか潜る人たちは普通に鮫と一緒に泳いだりしてるし...。)

NWJ_Okinawa_486.png

今回の取材では、ノンフィクションライターの石戸諭さんが記事を、ニューズウィーク記者の小暮聡子さんが編集を、僕が写真を担当しました。

タイトルの「沖縄ラプソディ/Okinawan Rhapsody」は、取材も終盤にさしかかった頃、小暮記者と話し合っていて浮かんだアイディアです。(僕の中では、決して単純にクイーンの映画のタイトルをパクったわけではありません!)

数年前から沖縄市で個人的なドキュメンタリーのプロジェクトを続けていて、そのタイトルは「Rhapsody in the dark」と、仮につけています。プロジェクトはまだ継続中ですが、2017年には同タイトルの展覧会をフランスで行いました。

当たり前のことですが、皆それぞれ違った価値観や人生の中にいることを撮影を通して知り、撮影を始めてから1年ほど経った頃、そんな彼らのことを「沖縄を撮る」といったようにまとめることはできないと思い始めました。だって「埼玉を撮る」とか言ってもピンとこないし...(埼玉県はただの例です...特に何か悪意があるわけではありません)。その頃たまたま辿り着いたのが沖縄市。そこで出会った人たちを撮らせてもらって今に至ります。

ジャーナリズムだけではありませんが、何か言いたいことがある時、一つの主題を見つけ、または主題に沿って物語を作るということをしないと中々理解してもらえません。しかし、パッケージ化は物事をわかりやすく見せることができる反面、白黒はっきりつかないグレーなことが沢山あるのが実際の世の中なんじゃないかな、とも思います。

そう考えた時に浮かんだのが Rhapsodyという言葉です。ラプソディ・イン・ブルーというガーシュウィンの曲が有名でしょうか。今だったらもちろんクイーンのボヘミアン・ラプソディ。ラプソディとは、「自由奔放な形式で民族的または叙事的な内容を表現した楽曲」と説明されています。僕が撮影させてもらっている人たちはまさにそんなラプソディーを奏でているような存在でした。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は続伸、配当狙いが支え 円安も追い風

ビジネス

26年度予算案、強い経済実現と財政の持続可能性を両

ワールド

米、ナイジェリアでイスラム過激派空爆 「キリスト教

ワールド

ホワイトハウスの大宴会場計画、1月にプレゼンテーシ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中