最新記事

チャットアプリ

人気チャットアプリ「Discord」、小児性愛コンテンツも野放しの衝撃

Discord Comes Under Fire For Furry Corruption

2019年2月8日(金)18時00分
スティーブン・アサーク

ディスコードは一部スタッフの職権乱用で大きな逆風にさらされている tommaso79/iStock.

<ソーシャルメディアの番人役であるモデレーターが集団で関与していた>

「ディスコード」は米国発のゲームユーザー向けチャットアプリ。毎日1900万人のユーザーがチャットルームに集まり、ビデオゲームから「スティーブン・ユニバース」などの人気アニメにいたるまで、様々なことを話している。2015年5月に開始したこのチャットアプリは今、違法行為の温床として批判を浴びている。米誌フォーブスは、ディスコードのプラットフォーム上で、盗品(ネット上のパスワードやアカウントを含む)やハッキング方法の売買、さらには性的虐待目当ての子供の待ち伏せが横行している疑いでFBI(米連邦捜査局)が捜査中、と報じた。

同時に、社内スキャンダルも発覚した。違反コンテンツの監視・削除を行う「モデレーター」と呼ばれるスタッフ自らが、個人の嗜好を理由にルールを破っていたのだ。違反は特に「ファーリーズ」(Furries、「擬人化された動物」の意)を自称するモデレーターやユーザーの間で目立つ。一部のモデレーターは行動規範に反して、子供を性的対象にした合成ポルノを共有するコミュニティを贔屓にしていた。ユーザーがそうした行為を知ったのをきっかけに、ソーシャルメディア上では「#ディス―ドを改革せよ」#ChangeDiscord運動が巻き起こった。

ディスコードで未成年を性行為に誘い出す手口を警告する動画

ディスコードは本誌の取材にこう回答した。「当社はコミュニティの安全を真剣にとらえており、信頼と安全を常に評価し、改善している。デジタル技術を活用した対話型プラットフォームにはリスクが付き物だ。当社はユーザーの安全を確保し強化するため、必要に応じて司法当局と密接に捜査協力している」

カブ・プレイ

他社のソーシャルメディアと同様、ディスコードはコミュニティガイドラインを定めている。違反したユーザーはモデレーターにアカウントを禁止され、コミュニティごと削除される可能性もある。

2018年2月、ディスコードは提携するサーバーにおいて、職場や学校で閲覧するのに適さない「NSFW(ノット・セーフ・フォー・ワーク)」のコンテンツを完全禁止すると発表した。「サーバー内におけるコミュニティの居心地を良くするためにこの方針を打ち出した。今後もすべてのユーザーに安全な利用環境を提供していく」

ディスコードのコミュニティガイドラインで特に監視対象とするのは、幼い男の子や女の子を性的対象にした「ショタコン」や「ロリコン」を含む「子供の合成ポルノ」だ。

2019年1月下旬、ディスコードのユーザーが米ニュースサイト「レディット」のサブフォーラムである「サブレディット」上に、TinyFeexというハンドルネームで知られるディスコードの管理者とやり取りした際のメールの内容を転載した。その中でTinyFeexは、「カブ」関連のコンテンツは利用規約に違反しないと書いた。「カブ」は、擬人化された動物のキャラクターを好む「ファーリー」のコミュニティにおいて未成年のメンバーを指し、「カブ・プレイ」はカブとの性行為を表す際に使われる。ディスコードのユーザーたちが管理者のメールのコメントを非難すると、すぐにサブレディットの管理者が投稿を削除し、ディスコードの安全向上協議会のkarrdianというモデレーターによる回答を掲載した。

「『カブ』と『ロリ』には重複する部分がある」とkarrdianは書いた。「『カブ』の描写にも、全く人間っぽくないものもあれば、架空の生物に見えるものもある。そうしたコンテンツはかなりグレーゾーンにあり、一概に全面禁止にはしていない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロ、米のカリブ海での行動に懸念表明 ベネズエラ外相

ワールド

イラン、複数都市でミサイル演習 国営メディア報道

ワールド

ベネズエラ原油輸出減速か、米のタンカー拿捕受け

ワールド

ロシアとウクライナ、双方が夜間に攻撃 エネインフラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中