最新記事

年金

60 歳を迎えて老後の生活資金を考える

2019年1月15日(火)19時00分
安孫子佳弘(ニッセイ基礎研究所)

3――老後の資産運用をどうするか

老後の資産運用をどうするかは実に難しい問題である。各人の資産保有状況、給与、公的年金、企業年金、確定拠出年金等から得られるインカム等の経済的な側面に加えて、各人が資産運用についてどれだけ詳しいかという金融リテラシーの程度、健康状況、家族構成等、実に千差万別である。

万人共通の資産運用というものはないので、各人が各人に適した資産運用をするしかない。勿論、これは老後の資産運用に限った話ではない。

以前に「正しい投資とは何か~投資の勝ち負け~」という題目でレポートを執筆したので、参考(※)にしていただきたいが、資産運用はそう簡単ではない。
※2017 年 08 月 30 日執筆:https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=56523?site=nli

しかし、老後においては一般的に収入が少なくなるという特色を踏まえると、資産運用に関して、やった方が良いことや気をつけるべきことがあるので、いくつか私見を述べたい。

(1)資産運用の目的や成果イメージを明確化すること

資産運用の目的を「老後の生活資金確保」としても、まずはじめに、どのくらいのリターンやインカムが必要で、どのくらいのリスクを覚悟しなければならないかを考え、自分なりに納得する必要がある。このためには、自分で自分の性格を良く考える必要がある。損するのが絶対嫌な性格なのか、多少のリスクは許容するのか、それともリスクを取るのが好きなのかを自分で見極める必要がある。

その上で、自分で資産運用について勉強したり、ネットで情報を集めたり、資産運用に詳しい人に聞いたりなどし、最終的に、自分で適切な目的や具体的な投資目標を設定した上で、それに合致した投資の選択をしなければならない。こうしたことは結構面倒なプロセスであるが、最終判断は他人任せにしてはならないと思う。もし、自分で判断し自分で十分納得できる自信がないのであれば、無理をせず、銀行預金や個人向けの国債等で資産を守るのが無難であろう。

ただ、少額で良いので、損しても良い範囲で、今後有望だと思う好きな会社の株式にでも投資して、その後の状況を一喜一憂するという資産運用の楽しさも経験してほしいという気もする。

(2)騙されないこと

資産運用をするには信頼できる相手と取引するのが非常に重要で、銀行や証券会社等の金融庁登録の金融商品取引業者に取引先は限定すべきである。さらに言うと、金融商品取引業者であったとしても、安心できる取引先であるとは限らないため、信頼できる先を慎重に選定してほしい。

よく聞く「選ばれたあなただけに紹介する、とても良い投資の話がある」というお誘いは怪しい。それほど良い投資であれば、その人または会社が銀行から借入等して投資すれば良いはずだ。わざわざ一般の小口投資家にコストをかけて勧誘してくるのは怪しいと思わなければならない。

「リスクが少なく、リターンがかなり大きい」という投資の話も当然疑ってかかるべきだ。もし、そういう「素晴らしい投資商品」を勧められたら「どういう場合に元本が目減りしたり、リターンがマイナスになるのか」を質問することをお勧めする。「そういうことはまず無い。安心して下さい」という回答であれば、その投資商品への投資はすべきではないと思う。

人は特別の「儲け話」に弱い。くれぐれもうまい話にはご注意いただきたい。

また、仕組みが複雑で良く分からない投資商品は一般的に手数料が高く、手数料に見合うほどリターンは得られない場合が多いため、あまりお勧めできない。投資商品を購入する前に、実質的な手数料総額や割合がどのくらいになるかを是非とも確認してほしい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

不明兵捜索、時間との戦い イランの猛攻耐えた米軍救

ワールド

トランプ氏、イランに合意期限「6日」 米戦闘機乗員

ワールド

米、イランで不明の戦闘機乗員救出 トランプ氏「史上

ワールド

イラク南部の巨大油田に攻撃、3人負傷 イラン国境に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 2
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 3
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「攻撃的知能」を解剖する
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 8
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 9
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 10
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 7
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 8
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 9
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 10
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中