関西空港、露呈した巨大欠点 「国際空港」として最悪レベルの情報発信

2018年9月12日(水)07時00分
さかい もとみ(在英ジャーナリスト)*東洋経済オンラインより転載

関空に滞留していた中国人男性は「空港の放送機器やWi-Fiが壊れて情報が取れない中、どこからともなく『大使館の人々が我々を助けに来る』と口コミで伝わってきた」と語っている。

なお、他の国の在阪公館による目立った動きは見当たらない。中国人団体といえば、これまでも日本国内のあちこちの空港でいろいろな問題を起こして来たが、今回は領事館が事態を重く見て、いち早く手を打った格好となったようだ。

第1ターミナルの基礎インフラはほぼ確保

関空は9月10日現在、2007年に完成した「2期島」の施設を使って部分的な運用が進められている。各種報道でも伝えられているように、第1ターミナル(以下、T1)とA滑走路がある「空港島」はかねて地盤沈下が著しく海面からの高さが1〜2メートルしかないため、それが原因で今回のような大規模な浸水が起きた。

一方、第2ターミナル(T2)がある2期島は海面からの高さが最も低いところでも4.6メートルあったことから高潮被害がほとんど起こらなかった。
その結果、格安航空会社・ピーチの離発着はT2を使い、既にフル稼働に近い形で行われている。隣接する貨物航空会社Fedexの運航も行われており、そこだけを見たら「関空の完全復活は間近か」とさえ思えるほどだ。

しかしT1は「まるで別の空港」と思うほどの惨状を呈している。今回の高潮被害で、建物の地下にあった防災センターや通信設備が浸水してしまい使用不可能になった。変電設備も故障したため、館内放送が流せなくなり、閉鎖当時にターミナル内に滞留した人々への案内が非常に困難になった。

ところで、関空は日本初となるコンセッション方式で運営権の売却が行われた結果、2015年秋からオリックスとヴァンシ・エアポートのコンソーシアムである関西エアポート株式会社(KAP)が44年間の運営権を獲得、現在同社によって運営が行われている。KAPの会見で何度となくフランス人で共同CEOのエマヌエル・ムノント氏が顔を見せるのは、ヴァンシ・エアポートの親会社である建設大手ヴァンシ(Vinci)がフランスを本社拠点としているからに他ならない。

KAPは9月8日、T1の施設の回復状況についての説明を行った。それによると、7日までは、エスカレータとエレベーターの監視設備が水に浸かり、正常に動かせない状況にあったほか、照明はターミナルの中央部などで停電。防災や空調設備も浸水による被害を受けていたが、11日には照明と防災設備が回復、空調とエレベーターが一部改修中だが、エスカレーターが動くようになったという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:戦闘で労働力不足悪化のロシア、インドに照

ワールド

アングル:フロリダよりパリのディズニーへ、カナダ人

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米CPI受け 円は週間で

ビジネス

米国株式市場=3指数が週間で下落、AI巡る懸念継続
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベル…
  • 6
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 9
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 10
    毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中