最新記事

格差社会

中国共産党「農村に帰ろう」Uターン戦略の見えない勝算

2018年7月25日(水)16時41分

中国社会科学院(CASS)によると、農村部における年間可処分所得の中間値は、2017年が1万1969元で、都市部の3分の1以下だった。

西南財経大による別の調査によると、農村部の所得下位世帯20%の収入は2015年から2017年にかけて3・8%下落。同期間に、都市部の下位20%の所得は12・6%増加した。

前出の菜種農家Liuさんは、この土地に将来を見いだせないと言う。「農業を学んだ若い人たちも、戻ってくるべきではない」と彼は言い、彼らの子どもたちも都市で働いたほうがいいと話す。

中国政府による帰郷キャンペーンによって、どれほどの人数が農村部に戻ったかは明らかになっていない。CASSによると、2012年─2017年に地方に戻った人は700万人程度にとどまった。

自然に恵まれた村のいくつかは、人材を繋ぎとめられる可能性が高いのも確かだ。

湖南省西部の山間部にある湘西トゥチャ族ミャオ族自治州は、茶の産地として知られる。25歳のXiang Lipingさんは、家族の有機茶農場を経営するため、父親に福建省から呼び戻された。

ビジネスは好調だが、村のすべての老人や子どもを雇ってもまだ農場は人手が足りないと、Xiangさんは言う。「枝がこんなに伸びてしまった。茶摘みをする人が足りない」と、彼女は訴える。

高齢化の危機

村民人口が高齢化する中、農村部の生産性は低下する一方だ。

国家信息中心(国家情報センター)が出した2016年の報告書によると、中国農村部では、人口の15.6%が60歳以上で、その割合は都市部に比べ5ポイント近く多かった。

双峰県のFurong村では、68歳のZhao Fenglingさんが、子どもたちが遠い町で稼いだ金で昨年、ぼろぼろの農場家屋から近くに新しく建てた平屋に引越しさせてくれたと喜んでいた。

だが最近夫を亡くしたZhaoさんは、寂しさも感じている。

「夫が生きていた時は、少なくともカードで遊ぶことができた」と、目を涙で一杯にしながら彼女は語った。「私の子どもたちはとてもよくしてくれる。でも、お金を稼ぐことでとても忙しい」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

Yawen Chen and Ryan Woo

[双峰県(中国)19日 ロイター


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 「外国人問題」徹底研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月27号(1月20日発売)は「『外国人問題』徹底研究」特集。「外国人問題」は事実か錯覚か。移民/不動産/留学生/観光客/参政権/社会保障/治安――7つの争点を国際比較で大激論

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、国連専門家の声明に反発 ウイグル強制労働疑惑

ビジネス

12月の百貨店売上高5カ月ぶりマイナス、渡航自粛で

ビジネス

ドルが一時2円弱急落、日銀総裁会見後に急動意 レー

ワールド

焦点:グリーンランド危機回避、NATO事務総長の「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 8
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 9
    コンビニで働く外国人は「超優秀」...他国と比べて優…
  • 10
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中