中国共産党「農村に帰ろう」Uターン戦略の見えない勝算
中国社会科学院(CASS)によると、農村部における年間可処分所得の中間値は、2017年が1万1969元で、都市部の3分の1以下だった。
西南財経大による別の調査によると、農村部の所得下位世帯20%の収入は2015年から2017年にかけて3・8%下落。同期間に、都市部の下位20%の所得は12・6%増加した。
前出の菜種農家Liuさんは、この土地に将来を見いだせないと言う。「農業を学んだ若い人たちも、戻ってくるべきではない」と彼は言い、彼らの子どもたちも都市で働いたほうがいいと話す。
中国政府による帰郷キャンペーンによって、どれほどの人数が農村部に戻ったかは明らかになっていない。CASSによると、2012年─2017年に地方に戻った人は700万人程度にとどまった。
自然に恵まれた村のいくつかは、人材を繋ぎとめられる可能性が高いのも確かだ。
湖南省西部の山間部にある湘西トゥチャ族ミャオ族自治州は、茶の産地として知られる。25歳のXiang Lipingさんは、家族の有機茶農場を経営するため、父親に福建省から呼び戻された。
ビジネスは好調だが、村のすべての老人や子どもを雇ってもまだ農場は人手が足りないと、Xiangさんは言う。「枝がこんなに伸びてしまった。茶摘みをする人が足りない」と、彼女は訴える。
高齢化の危機
村民人口が高齢化する中、農村部の生産性は低下する一方だ。
国家信息中心(国家情報センター)が出した2016年の報告書によると、中国農村部では、人口の15.6%が60歳以上で、その割合は都市部に比べ5ポイント近く多かった。
双峰県のFurong村では、68歳のZhao Fenglingさんが、子どもたちが遠い町で稼いだ金で昨年、ぼろぼろの農場家屋から近くに新しく建てた平屋に引越しさせてくれたと喜んでいた。
だが最近夫を亡くしたZhaoさんは、寂しさも感じている。
「夫が生きていた時は、少なくともカードで遊ぶことができた」と、目を涙で一杯にしながら彼女は語った。「私の子どもたちはとてもよくしてくれる。でも、お金を稼ぐことでとても忙しい」
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
[双峰県(中国)19日 ロイター
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