最新記事

2055年危機 100億人の世界

人口爆発 アフリカ人からの「反論」

2018年7月4日(水)19時01分
前川祐補(本誌記者)

magSR180703-chart2.png

本誌7/10号「2055年危機 100億人の世界」特集より

――他地域と比較して人口増加率が突出して高い、との指摘がある。

それはアフリカを「地域」と見るからだ。だがアフリカは巨大な大陸であり、その意味ではユーラシア大陸もかなりの人口になるだろう。今のアフリカから人口を減らせば、経済にとって助けになるどころか損失が増える。

人口は市場を形成するための根本的な要素だ。安価な労働力を大量に提供することで急成長を遂げた中国経済を見れば明らかで、巨大市場になればグローバル経済からも注目を浴びる。

――国際社会はアフリカの人口増加による環境悪化を懸念している。

いま見られる自然破壊の多くは、先進国の経済発展の過程で引き起こされたものだ。南極のオゾン層破壊と、それによるアフリカ南部の温暖化が指摘されているが、それらはアフリカの責任ではない。

人口増加のグローバルな悪影響を盾にアフリカ諸国に人口「問題」を指摘する欧米諸国の姿勢は、アンフェアというより偽善だ。こうした議論は、温暖化問題をめぐる先進国と途上国の立場の違いに似ている。でも心配しないでほしい。アフリカ経済が一定の発展を遂げれば、人口も減少に転じる。現在の先進国と同じように。

*コメントは個人的見解

【参考記事】人口減少より人口爆発、2055年に100億人になると何が起こるか


180710cover-150.jpg<先進国の少子化どころじゃない。人類の大問題は人口減少よりむしろ人口爆発だ。本誌7/10号(7/3発売)「2055年危機 100億人の世界」特集では、資源、環境、ゴミ問題がどうなるかを検証。起業家イーロン・マスクが提唱する火星移住の現実味も探った>

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中