人口爆発 アフリカ人からの「反論」
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<人口増加は止まらず、2055年には100億人を突破。温暖化と資源枯渇で地球が悲鳴を上げている。だが国際機関も警鐘を鳴らすほどの人口増加が予想されるアフリカを、当のアフリカ人はどう見ているのだろう。本誌7/10号(7/3発売)「2055年危機 100億人の世界」特集より>
2050年には世界人口の約4人に1人がアフリカ人という時代が来るほどの人口増加が見込まれるアフリカ。特に経済発展が目覚ましいサブサハラ(サハラ砂漠以南)の人口爆発が顕著で、同年の世界人口ランキングにはナイジェリアなど3カ国がトップ10入りすると予測されている。
国際機関は安定的な経済発展への懸念からアフリカの急激な人口増加を問題視し、警鐘を鳴らしてきたが、当事者であるアフリカ人とは温度差があるようだ。人口爆発の現実をアフリカ人はどう捉えているのか。アフリカ経済に詳しいアクセンチュア・リサーチのリサーチ・スペシャリスト、ティム・ビラビに本誌・前川祐補が聞いた。
――アフリカの人口増加の背景は。
経済発展には農業から工業への産業構造の転換と中間所得層の増加が重要だが、アフリカはまだこの転換を終えていない。地方に住む多くのアフリカ人は農業に従事しており、そうした社会では家計維持のために大規模な家族を必要とする。また、そのような家庭にとって子供は「賭け」でもある。例えば10人の子供のうち1人でも奨学金を得て国外の大学に行けば、将来は家族を養ってくれると現実的に考える世帯は多い。もちろん幼くして死ぬ子供の数が多いことも背景にある。
アフリカにとって多産には多くの意味があるが、根本にあるのは深刻な貧困だ。私はナイジェリアの出身だが、地方の村社会では家族が多いほど裕福と考えられがちで、そうした心理的な側面も影響していると思う。
――経済発展に人口増は不可欠だ。
開発経済学の基本では、技術革新に乏しい社会では経済成長はおおむね人口の増加に比例する。アフリカ諸国にとって、人口増加は現在の経済システムの結果であって「問題」ではない。
――人口抑制を求める国際社会の指摘をどう思うか。
人口政策や人口抑制による「問題」解決は極めてマキャベリアン(国家至上主義)的だ。アフリカに限らず多くの国が、それぞれの経済発展の過程でベビーブームなどの人口増加を経験しているはずだが、ことさらアフリカが問題だと指摘されるのは不思議だ。